「芽衣。今まで本当にごめん」



涙声に、首を何度も横に振る。



「大雅は何も悪くないっ。謝るのはわたしの方だよ。大雅をたくさん苦しめて、本当にごめんね」



今までのことを謝ると、大雅も



「違うんだよ。俺は、俺を助けてくれた芽衣のことを全部忘れていたんだ。

自分のせいで芽衣が事故にあったことを全部忘れて、都合の悪いことを全部忘れて、何食わぬ顔して生きてきた。

現実から逃げ続けてたんだ。本当はそんな資格、なかったのに。

芽衣にありがとうもごめんも伝えないまま、全部から逃げて全部忘れて。

俺、本当に最低だった。最低で最悪で、本当にろくでもない人間だった」


「違う! 大雅は、ろくでもない人間なんかじゃない。忘れられてたのは確かに悲しかったししんどかった。

でも、それは絶対大雅のせいじゃない。わたしが大雅を助けたのも、わたしは何も後悔してない」


「……でも、芽衣はそのときの後遺症があるって……」



大雅の言葉に、わたしは息を止めた。


なんで、大雅がそのこと知ってるの……?



「ごめん、紫苑が全部教えてくれたんだ。俺には絶対言うなって芽衣から言われたけど、俺も知っておくべきだと思うからって」


「……そっか」



紫苑は前から、もし大雅が思い出したら絶対言うべきだって言ってた。わたしが言い出せないだろうからって、代わりに言ってくれたのだろう。