「綺麗だったねー!」


「ね! 最後の一番大きいのすごかったね! ムービー撮ればよかったあ」


「あ、わたしムービーにしたよ! あとで送ろうか?」


「えぇ! いいの? ありがとう〜!」



隣にいた浴衣姿の女の子二人が楽しそうに話しながら帰っていくのを横目に、わたしは一人、花火大会が終わったあともそこにいた。


人が多いから、落ち着いてから帰ろうと思ったのもあるけど。


今日が終わったら、なんだか本当に"全て"が終わってしまいそうな気がして。そう思ったらなかなか身体が動かなかった。


真っ暗になって、離れたところにあるぼんやりとした街灯以外何も無い高台では月明かりだけがわたしを照らす。


町外れだからか、花火の煙が晴れた向こうに星が綺麗に見えて飽きることなくそれをじっと見つめていた。


ここにくると、いつもいろいろなことを思い出す。


大雅と些細なことで喧嘩したり、馬鹿みたいに笑い合ったり。


中学で四人で毎日飽きるほど話したこと。四人で出かけたり、大雅とは毎日一緒に帰ったっけ。


修学旅行。行きたかったなあ。


今年は高校の修学旅行が秋に控えている。


今回は入院していないから行けるけれど、いつも以上に周りに迷惑をかけるだろうし、行くかどうか悩んでしまう。