『……つーかお前っ、誰だよっ……』
だから、わたしの顔どころか存在すら忘れてしまっている大雅を目の当たりにしたときに、上手く言えないけれど……絶望した。
その後大雅のお母さんから聞かされたのは、事故のショックが大きくてわたしに怪我をさせてしまったという負い目がそうさせてしまったのではないかというものだった。
わたしはあの日、大雅を助けたことに後悔なんて一ミリもない。そう言い切れる。
そりゃあ両親には二度とこんな無茶はするなと散々泣きながら叱られたし、大雅の両親にも例え人を助けるためでももう二度とこんなことしないでと泣かれてしまった。
当たりどころが少しでもずれていたらわたしは死んでいただろうと言われていたから、叱られるのは当然のことだった。
運が良かったから今、二人ともこうして生きていられる。それは当たり前じゃない。わかっていた。
だけど、もしまた今同じ場面に遭遇したとしたら。
……やっぱりわたしは、同じように大雅を助けるために身体が動いたと思う。
理屈なんかじゃない。黙って大雅を見殺しになんてできない。
だけど、その結果がまさかこんなことになるなんて、誰が想像しただろう。