「……芽衣はね、そんな状況でも自分のことは二の次で、大雅のことしか考えてなかった。

どんなにあんたに酷いことを言われても、"本当に苦しんでるのはわたしじゃない、大雅だから"って、"わたしのエゴだってわかってるけど、それでも絶対大雅に思い出してもらいたいから"って言って、諦めなかった。

散々泣いたのに、次の日にはまた"今日もストーカー女って言われちゃった"って無理に笑うの。

わたし、何も言えないのが悔しくて悔しくて。二人はあんなにいつも一緒だったのに、あんなに仲良かったのに、あんなにお互いを想い合っていたのに。どうして大雅は芽衣のこと忘れちゃったんだろうって。どうしてこんなことになっちゃったんだろうって。

そればっかり考えて、二人のために何も行動できない自分が情けなかった」


「……」


「俺も。二人のために何かしたいって思っても、俺が行動することでまた二人を傷つけちゃうんじゃないかって思ったら、何もできなくて。

芽衣が泣きそうになりながら大雅に思い出してもらおうとしてるのを黙って見てることしかできなかった。何もできなかったんだ。

……悔しかったよ」


「……俺っ……」



芽衣に申し訳なくて。二人に申し訳なくて。皆に申し訳なくて。段々と顔が下を向く。



「……ねぇ、大雅」



不意に紫苑に呼ばれ、ゆっくりと顔を上げた。