「中学の同級生は、芽衣と仲が良かったりクラスが同じだった子は大体皆知ってる。

今の高校でも、同じクラスの人たちには最初に事情を説明してなんとか理解してもらってる。

もちろん皆が皆わかってくれるわけじゃないから大変なことも多くて。誤解されることもある。だからわたし以外の子たちはほとんど芽衣と関わることはない。

先生たちにも説明してて、芽衣が困ったり混乱したりすることを減らすためにわたしが三年間同じクラスになるように頼み込んで、そうしてもらってる」


「代わりに俺が、大雅が思い出した時のために三年間大雅と同じクラスになるようにしてもらってたんだ」


「芽衣にはそこまで迷惑かけたくないって散々言われたけど、わたしたちも二人のために何かしたかった。二人を支えたかった」



なんだよ、それ。俺は知らない。


透が俺と三年間同じクラスになるようになってた?


俺と芽衣のために?



「……つまり、知らなかったのは、俺だけ……なのか?」



同じ中学の人も、同じ高校の人も。皆知ってる。なのに俺は知らなかった。


何故だ?そんなの、俺が芽衣のことを忘れていたからに決まっている。


芽衣の話題を自分から遠ざけて、逃げ続けてきたんだから。


知らなくて当たり前だと言われてしまえばそれまでだけれど、涙をこぼしながらこくりと頷く二人を見て、ショックが大きすぎて座っているのもつらくて両肘をついて頭を抱えた。