そうだ。それがなぜなのかがよくわからなくて、さらにイライラを募らせていたんだった。


どうしてだ?朝は必ずきていたのに。


でも考えてみても、そんなのわかるわけがない。


だって、俺は次第にそれがラッキーだと思ってて。朝さえ逃げればいいと思ってた。朝さえ乗り越えれば一日が平和だとまで思ってた。


芽衣が学校でどう過ごしているのかも知ろうともしなかった。俺に関わらないでほしいとまで酷いことを考えていた。


でも、どうして。



「芽衣は、わざと大雅を無視したんじゃない。話しかけたくても話しかけられなかった」


「紫苑! それ以上は……」


「透は黙ってて。これは、もう芽衣だけの問題じゃないし、大雅が全部思い出したならいずれは知ることだよ。大雅が芽衣に謝りたいなら、なおさら。これ以上隠しておけないよ」


「……っ、わかったよ」



二人のやり取りが、重くのしかかる。



「大雅」


「……」


「芽衣には、いつか大雅が記憶を取り戻す日がきたとしても、"これだけは絶対大雅には言わないで"って言われてる」



何か、まだ俺の知らないことがあるのだろうか。


隠しておけない?言わないで?いずれは知ること?