「俺、思い出したけど、自分がしてきたことを考えたら……芽衣に合わせる顔がないって思っちまって……また現実から逃げようとしてて。向き合おうとしてなくて。それで、龍雅にも呆れられた」


「大雅……」


「でも俺、思い出してからずっと考えてて。今、二人に会って話して、やっぱり、ちゃんと謝りたいって思った。今までのこと、逃げないで全部ちゃんと謝りたいんだ」



龍雅の、"それでいいのか"という言葉がずっとぐるぐる回っていた。


何度自問自答してみても、俺の答えは"それでいいわけない"だった。


謝りたい。それが俺の自己満足だっていうことはわかっている。


芽衣はもう俺に会いに来ないと言った。それがどういう意味かもわかっている。


だけど、自分がしてきたことを"記憶を失ったことのせい"にして終わりたくない。


この二年間の俺も、確かに俺自身だったんだ。


そもそも事故の原因を作ったのも俺だ。


俺が全部悪かったんだ。


だから、謝りたい。謝って、ちゃんと助けてくれたお礼を言いたい。


命懸けで俺を守ってくれた芽衣に、ありがとうと言いたい。そして、今度こそ、俺が。


そう思うのに。



「だけど、怖くてっ……」



芽衣から向けられる目が怖い。


怖くて、決意がまた揺らいでしまいそうになる。


紫苑と透は、そんな俺の気持ちを飽きることなくずっと聞いてくれた。


俺の想いを、考えを、否定することなく全て受け止めてくれた。