「大雅だよね?こんなところでどうしたの?」
芽衣の一番の親友、紫苑の姿だった。
「……紫苑」
「こんなところで会うなんて珍しいね。一人?……風邪でもひいた?」
「いや……」
「……」
俺がなんて答えればいいかわからないのを悟ったのか、紫苑は
「わたしはおばあちゃんが今ここで入院してて、そのお見舞いに来たの。お小遣いもらっちゃったから中のコンビニでお菓子買って今帰るところ」
と俺が出てきた病院を指差してから手に持つレジ袋を少しだけ上にあげた。
どうやら同じ病院の中にいたようだ。院内は広くてすれ違わなかったからか、全く気付かなかった。
「そうか……」
答えて、今まで紫苑とどうやって会話していたんだっけと困惑した。
思えば、いつも紫苑と話す時は隣に芽衣か透がいたような気がする。
中学の時は透と四人でいつも一緒にいたけど、考えてみれば紫苑と二人きりで話す機会なんてほとんどなかったかもしれない。
紫苑もそう思ったのか、
「……なんか、中三から疎遠になっちゃったからかな、今も同じ学校なのに大雅と二人でしゃべるのちょっと変な感じする」
と苦笑いした。