「……何度も聞いてごめん。芽衣は、やめるつもりないんだもんね?」
どこか言いにくそうな紫苑の言葉に、様々な意味がこもっていることをわたしは知っている。
「……うん。大雅が心配だし。こうなったのもわたしのせいだし。どんなに嫌われても、わたしにできることなら何でもするよ」
「……でも、わたしは芽衣の方が心配だよ。芽衣の心が壊れちゃわないかが、本当に心配」
「ありがとう紫苑。紫苑がそう言ってくれるだけで心強いよ」
「芽衣……」
知っていながら、わたしは紫苑に首を横に振ることしかできない。
"ストーカー女"
大雅からそう呼ばれ始めたのはいつだっただろう。
少なくとももう一年以上は大雅からそう呼ばれている。
仕方ないよね、嫌われてるのに毎朝待ち伏せみたいなことして、挨拶して。
自分でもそう呼びたくなる時がある。
ならやめればいいのにって自分でも思うけど、それができない。
どんなに嫌われたとしても、どんなに苦しくても、わたしは大雅に笑顔を向けることをやめないと決めている。