どこまでも影が真っ直ぐに伸びていく、黄昏時の通学路。
そこに響く足音は、二人分のスニーカーが砂利を踏む乾いた音。
歩幅が似ているのか、どちらかが寄せているのか。
自然と重なり合うその足音は、心地良く辺りに響く。
手が触れそうで触れない絶妙な距離感が、今の二人の心の距離を表しているようでもどかしささえ感じた。
「あ、そういえば。大雅?」
思い出してつぶやくと、
「ん? なんだ?」
と首を傾げた。
「明日の花火大会、おばさんが浴衣着付けてくれるって言うからお昼食べたらそっち行くからね」
「ふーん? わかった。じゃあ着付け終わったらそのまま花火大会行くか」
「うん。楽しみだね!」
「あぁ。去年は雨で中止だったしなあ。でも今も結構曇ってるけどこんなんで明日花火見えるか?」
「えー、今朝テレビ見た時は明日は晴れだって言ってたよ?」
「出たよ芽衣の"テレビで見たから大丈夫"説。本当かあ? 確か前回それで地域見間違ってたんじゃなかったか?」
「今回は本当だって。ちゃんと昨日確認しながら見たもん」
「……まぁ、見る限りは山の方はまだ曇ってないしな。夕陽も出てるし大丈夫だとは思うけど」
「でしょー? それに少し曇ってるくらいなら見えるから大丈夫だって!」
夏を感じさせる生温い風が頰を撫で、高い位置で結んだポニーテールが歩くたびに左右に揺れて、その影も同じように揺れる。