僕らに明日があるなら

私達は、奏斗のガイドの元、自由行動を楽しんでいた。
「これで、ひと通りの現造物は周ったな。予定通りだ。次、和菓子屋、周るぞ」
「やっとか」
「そのやっとは、建物の多さだろ」
「さすが、奏斗だな。これだけの時間で、寺とか昔の木造建築を周れてるし、なのに、全然、俺、疲れてない」
「楽しいし、奏斗の説明、分かりやすいよ。ありがとう」
「これくらい、当たり前だ。和菓子も色々、あるからな。リクエスト、言ってくれ」
「俺、紅葉まんじゅう」
「私も」
「最中、食べたいな」
「ようかんとか食べたい」
「分かった。抹茶が美味い和菓子屋があるんだ。行こう」
「抹茶だ!」
「和菓子と合うだろうな」
「早く、行くぞ。奏斗が俺達にも合わせて、予定、組んでるんだ。俺達も、足並みそろえて、楽しもうぜ」
「そうだな」
「和菓子、楽しみだ」
私も四人の後を追うように歩き出そうとする。
「あっ」
石につまづいてしまい、体制が崩れる。
私は、こけてしまう事と痛いのを一瞬で覚悟する。
「綾!」
声が聞こえて、地面に落ちるはずだった体が止まる。
「大丈夫か?」
目を開けると私は、洸の腕の中。
一番近くに居た洸が私を抱き止めてくれたんだ。
「うん。ありがとう、洸」
「どういたしまして」
洸が私から離れると、潤が私の耳元で囁く。
「綾、後で、話がある」
頷くと奏斗の隣に戻り、奏斗と話し始める。
話って、なんだろう。やっぱり、潤は、まだ、隠してる事、怪しんでるのかな。
「綾、大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ。行こう」
そして、奏斗のガイドで、目的地の和菓子屋に来た。
「抹茶だ!」
「俺、紅葉まんじゅう、食べる」
「栗まんじゅうも食べたい」
「お前ら、もう少し、落ち着け」
そう言った奏斗が前に出る。
「すみません」
「お友達なら、大歓迎よ。いつも、ありがとね。奏斗君」
「えっ」
「奏斗、ここの人と知り合いなのか!」
「まあな。京都に来た時は、いつも、ここに来るんだ」
「奏斗君じゃないか。久しぶりだねぇ」
「お久しぶりです。今日もいただきます」
「ええ。もちろんよ。注文、どうぞ」
「紅葉まんじゅうと栗まんじゅう、抹茶を五つと最中と三色団子を三つください」
『おお』
多分、最中か団子のどちらかは、二つ、奏斗が食べるんだろうな。