僕らに明日があるなら

朝のホームルームに修学旅行が来月の初めにあることが知らされた。
午前中の授業は三年のクラス合同で修学旅行の計画になった。
泊まる部屋の割り当てや班決めの時間になって、皆、それぞれ、グループを作っていく。
「綾」
「一緒にグループ組もうぜ」
別クラスで別々の場所に居た和貴達が私を見つけてやってきた。
「うん。皆で周ろう!」
私は行き先の表を広げて、和貴達は表の周りに座った。
「俺、食べ歩きしたいな」
「洸は団子が食べたいんだろ」
「そうだけど、抹茶と一緒に京都の美味しい和菓子を
沢山、食べるんだ」
「神社にお参り、行きたい」
「奏斗は御朱印集めが趣味だからね」
「それなら、私は皆、元気でいられますようにって
お願いする!」
「あのさ」
私が顔を上げると「綾」と潤が私を見つめていた。
「どうしたの?」
「何でもない」と潤の視線はまた、表に戻った。
もしかして、疑ってる?
さっきのは良くなかったかも。
午前の修学旅行の計画はあっという間に終わり、昼休みになった。
「綾、居る?」
潤が私のクラスに来た。
「一人で来たの?」
「綾と話したい事があるから」
病気の事、気づかれたかな。
「分かった」
私と潤は屋上に来た。
「さっきのさ、綾の願い事、俺達は入ってるけど、綾はカウントしてないよな」
やっぱり、潤は...。
ごめん、潤。
「そんな事、無いよ。私もやっと、病気が治って、また、皆で居られるんだもん。皆で元気で笑っていたいから、お願いするの」
「本当に信じていいんだな」
「うん」
「分かった。綾を信じる」
ごめん。
「ありがとう」
嘘じゃなくなる時が来るのが、怖いな。
「綾、潤、居た!」
「弁当、食べようぜ」
皆が来た。
「うん」
「ああ。探させて、悪かったな」
「気にするなって」
「お腹空いた」
皆と少しでも、長く、一緒に居たい。
笑っていたいよ。