私の中にはいったい、何人の私が住んでいるんだろう。



 名前も知らないアーティストを、興味もないのに褒めたたえる私。

 クラスメイトの愚痴を、無関心のまま同調する私。

 相手の不安を取り除くために、わざと明るい声を出す私。



 私の中には何人もの私がいる。
 私と関わる人と同じ数だけ違う私がいる。
 ときどき、本当の自分はどこにいるんだろう、なんて思ったりする。

 でも、それでもいい。

 私がどうなったってかまわない。
 だって私は、もう昔の私に戻りたくないから。



 私の名前はカメレオン。



 ——私はもう、誰にも嫌われたくないんだ。