文化祭まで残り二週間となった校内は、どこかそわそわとしたお祭り前の雰囲気に変わってきていた。



「文化祭楽しみだよねー。中学の文化祭って合唱コンとかだったでしょ?だから高校の屋台とか劇とかそういうのがある文化祭にずーっと憧れてたんだよねぇ。それにHara先生の小説の“キミと青空”!あれ見てから憧れ強くなった!ヒロインとヒーローが後夜祭で誰もいない教室で告白し合うラストシーン!あそこ感動したなぁ」



熱く語る高城さんに、自分の小説を目の前でこんなにも褒められて少し照れる。



「“キミと青空”は中ニの時に書いたやつで、その時少女漫画にハマってたからそこで読んだ知識を使って理想を詰め込みすぎちゃったんだよね。今見返すとちょっと恥ずかしいくらい」


「ええ、そんなことないよ!すっごくキュンキュンしたもん」



看板の文字を赤色のペンキで塗りながら、思い出しているのかうっとりとした顔をする高城さんに思わず苦笑する。



「莉央ちゃーん!委員長に買い出し頼まれたから、一緒に行こうー!」



今日も元気な山崎くんが高城さんに抱きつこうとして、寸前でかわされていた。



「もー照れちゃって」