「自分で気づいてないだけで、あんたは結構すごいやつだよ。現実は小説みたいにキラキラとしたものじゃないって言ってたけど、きっとこれから叶えていける。あんたはその力を持ってるから」



小坂くんはうっかりしていたら見逃してしまいそうなほど小さく、そして優しく笑った。



「あ、私…」


「じゃあな」



小坂くんは小さな私の呟きに気づかず、そのまま帰っていった。



…言えなかった。


“私、小坂くんとも仲良くなりたい。”


って…。