島野一家は新クルーザーに乗り込んだ。
大勢の人達が見送りに来てくれていた。
まったく、全員勢ぞろいかってぐらい賑わっている。

珍しくタイロンのマッチョな国王まで来ている。
なにやってんだ?あの人?
礼の如くポージングを決めていた。
何処でもやるんだな。
エンゾさんが延髄蹴りを決めていた。
お!決まったか?
マッチョな国王は頭から倒れ込んでいた。
ありゃりゃ、あれは意識を刈り取られているな。
エンゾさん・・・こんな残念女神ではなかったはずでは?

マリアさんが投げキッスをしていた。
決してここまで届きませんように。
レケとエクスが号泣していた。
なんでかな?
君達は俺の説明をちゃんと聞いていたのかな?
夜には帰ってくるのだよ?
それも毎日。
残念な家族みたいだ。

さて、目指すは北半球。
まずはボイルの街の北側の港に転移する予定。
予め現地は視察済だ。
オリビアさんの話にあった北半球への出発地点だ。
俺の予想としては、北半球までの旅路は五日間だ。
これもオリビアさんの話を参考に計算してみた。
でも所々で遊びを行うつもりだから、もう少し長い日程になるのかもしれない。
ただ船を進めるだけなんて、俺の性に合わない。
海上で出来る遊び道具は既に『収納』と新クルーザーに積み込んである。
はっきり言ってしまえば、遊びに行く気分である。
これまで船旅はしたことがない。
ワクワクとドキドキが大半を占めている。
さて、そろそろ出発しようかな。

俺は大声で叫んだ。
「行ってきまーーーす!!!」

声が返ってくる。
「「「「「いってらっしゃーーーーい!!!」」」」」

俺は『転移』の能力を発動した。

フュン!

さあ、旅の始まりだ!
旅を命一杯楽しもう!