遂に神気減少問題を俺は解決していた。
これを俺はまず神様ズに報告した。
全員神妙な面持ちで受け止めていた。
そして数名は申し訳なさそうにしていた。
自分には何も出来なかったと思っているのだろう。
そんな事は気にしなくても良いのにね。
出来る者がやればいいだけのことだ。
でも当人達にしてみればそうはいかないという事なのだろう。
沈痛な面持ちで受け止めていた。

ラファエルの件は言わずにおいた。
だってこれを言ってしまっては、俺には時間旅行や時間停止の能力がありますよと言ってしまっていることに変わりは無いからだ。
アイルさんも極力知られない方が良いと言っていたしね。
その為ラファエルは精神を病んで死んでしまったと伝えておいた。
まあ事実とは多少違うが似たようなものだ。
そうしておいておくれよ。
それでいいじゃないか。
そっとしといてあげよう。
最後はあいつも笑顔でその生を遂げたのだから。

そして俺は神気が堪った神石を神様ズに配った。
一人五個までとしておいた。
そうしたことに意味は無い。
何となくそれぐらいで良いのではないかと思ったからだ。
実際神気が堪りまくった神石の神気はどれだけあるんだよ?
と言いたくなるぐらい神気に満ちている。
一個でも充分と思えるぐらいなのだ。
これまで制限してきて苦労してきたみたいだから適当に五個渡したとうこと。
適当で申し訳ない。
どうしてもこれ以上に欲しい時には相談に乗りますよとの言葉は添えてある。

更に上級神達にも配っておいた。
意外にも喜ばれてしまった。
特にアースラさんにはとても喜ばれた。
これで豊穣の祈りを何度も行使出来ると言われてしまった。
程々にお願いします。
充分に作物は育っていますよ。
野菜の過剰供給は止めて下さい。
物価が下がって経済がおかしくなりますのでね。
上から女神から苦情がきます、その時は任せますのでご対応願います。
やれやれだ。

そんな事はいいとして、今後この世界はどれぐらいで元の神気に満ちた世界になるのかは分からないが、年月を掛ければ神気に満ちた世界になるだろう。
今はまだ数日しか経っていない為変化は感じないが、減少の原因が無くなった今、必ずこの世界は神気に満ちた光り輝く世界になるだろう。
俺はそう思っている。

そして俺の神様修業のレベルは90にまで上がっていた。
恐らく100に到達してしまったら本当の意味で神に成ってしまうのだろう。
そんな気がする。
この先するべきことは限られている。
俺はそれをよく分かっている。
本能的にもそうと感じている。
終わりは近いのだと。

ここで一度俺はこの世界を離れてみようと決断した。
一度日本に帰ってこれまでを振り返り、本当に創造神に成るべきかどうかを考えてみることにしたのだ。
アイルさんからは時間を掛け過ぎと怒られるかもしれないが、強気に出ることにした。
だって自分自身のことなのだ。
他人にペースは与えたくは無い。
俺自身に決めさせて欲しい。
その権利はあるはずだ。
それにもうこの世界の崩壊は無くなったのだから。
それぐらいの我儘は聞いてくださいよってね。



私はおでんの湯にて絶賛整い中。
相変わらず飯伏君達サウナフレンズとの交流を楽しんでいる。
先日飯伏君の会社の先輩に辺るブーさん(俺の脳内ネーム)から話し掛けられて、新たなサウナフレンズが出来てしまった。
実は前々からブーさんとは話してみたかったので、話し掛けられて少々嬉しかった。
それは飯伏君が調子に乗って数十セットもサウナを楽しんでしまい。
脱水症状を起こしてしまったからだ。
それを咎めたかったブーさんが飯伏君と仲が良い私に、苦言を呈してくれとの依頼だったのだ。
実に面倒見が良い先輩だ。
それを得て私も飯伏君に苦言を呈したのだが、彼はいまいち反省していなかった。
何ともサウナジャンキーが過ぎる。
一日に二十セット近くも行うなんて・・・変態だな。
よくよく聞いてみると痛風持ちであるということだった。
だったらサウナの入り過ぎは駄目だろう・・・
否、命の危険があるから本当に辞めて欲しい。
そう切に願います。
その後事ある事に私は飯伏君に、今日はちゃんと水分を摂っているか?
程々にしなさいよと声を掛けることになっていた。
何だかな・・・保護者になった気分だ。



そんな与太話はいいとして。
これまでの事をまずは振り返ってようと思う。
一人サウナで蒸されながら。
ここは意識して演算の能力を発動した。
長い話になりそうだからね。
それにこの能力なら見た目に変化は無いので、驚かれることも無いだろうし。
さて、一セット目の開始だ。



定年退職を機にサウナ満喫生活を満喫していた所に、創造神様から神様に成らないかとスカウトされてしまった。
何度もこれは冗談ではないかと疑ってしまった。
だって余りに突拍子の無い出来事なんだから。
疑って当然でしょ?
それにしても今思うと転移前に良い交渉が出来たと思う。
あれが無かったらもっと過酷な異世界生活になったかもしれない。
我ながらグッジョブです。

でもある意味日本でのサウナ満喫生活は僅か一ヶ月でしか無かった・・・
今思うとちょっとムカつく。
もう少し満喫したかったな。
そしてマイサウナに吊られて私は神様修業をすることになってしまった。
だってマイサウナだよ?
欲しいに決まっているじゃないか?
間違っているかい?マイサウナだよ?
サウナーの夢じゃないか。

有ろう事か無人島にノンと二人放り投げられてしまった。
これは訴えてもいい案件だ。
前説明がなさ過ぎる。
ざっくり爺さんめ・・・いい加減反省しろ!
てか何処に訴えればいいんだ?
オズにか?あいつに爺さんは裁けないだろうな。
まあいいか。

今でも最初の数日間の事は痛烈に覚えている。
創造神の爺さんに何度苦情を言おうと思ったことか・・・
特に万能種の取り扱いだよ!
説明書ぐらい書いておけっての!
只のストレスでしかなかった。
まあでも今想い返してみると、これのお陰で神気操作や神気放出を覚えたのだから
文句は無いのだが・・・何だかムカつく・・・掌で踊らされていたのか?
でしょうね!

そしてゴン、エルと出会い。
そして俺はギルの父親になった。
本当に嬉しかった。
当時は驚きでしか無かったが、今思うと最高の出会いだった。
結果良ければ全て良しってね。
小さなギルは本当に可愛かった。
まあ今でも可愛い息子に変わりはないのだが、今では頼れる息子となっている。
ギルは本当にしっかり者だと思う。
異世界に来てからは、もしかしたら私は一番一緒に居た存在かもしれないな。
神様に会う時は常に一緒だったし、ギルは何処へ行くにも私に付いて来たがったからね。

今では手が離れてギルはエリスと居ることが多い。
そりゃあそうだろう、やっと出会えた肉親なんだからさ。
エリスもギルにべったりだしね。
しょっちゅう坊やは凄いねー、坊やはカッコいいねーと騒いでいる。
その度に照れているギルは純粋だなと感じる。
でもギルのことだ、そろそろ坊やは止めて欲しいと言い出しそうだな。
未だ中二病的な部分があるからね。
反抗期が無いだけ益しか?
このまま見守っていこうと思う。

世界樹の件では自分がヒプノセラピストで良かったと思った。
植物と同調するなんて普通の人は考えないだろうしね。
実はヒプノセラピストになってから何度か、人間以外と意識が繋がるのではないかと考えたことがあったのだ。
もしかしたらノンとはそんな関係性であったのかもしれないな。
ノンとは無意識に繋がっていたのかもしれない。
そんな事もあってノンは賢かったのかも・・・
今と成ってはそう感じる。

そもそも始めてノンを見た時には運命を感じてしまったのも事実だしね。
まだ小さなノンを腕に抱いて家に帰った時には感慨深いものがあった。
懐かしい思い出だ。
ノンとの出会いについては機会が有ったらじっくりと話してみようと思う。
今後のお楽しみということで、今は勘弁して下さい。

世界樹と繋がったことによって、アイリスさんと出会う事になった。
アイリスさんは今ではサウナ島の裏番長だからね。
私はアイリスさんには絶対逆らいませんよ。
だって怒ると無茶苦茶怖いんだもん。
思わず日本に逃げたくなるんだよな。
思い出しただけでも身震いするよ。
でもアイリスさんのお陰で今の島野商事やサウナ島が有ると言っても過言では無いからね。
サウナ島産の野菜の美味しさはアイリスさんの愛情で出来ているからな。
今ではそれにアースラさんの愛情もプラスアルファされているから、より栄養満点の野菜になっている。
本当に頭が下がります。
美味しい野菜をありがとうございます!

アグネスは・・・どうでもいいや。
今ではエリカの舎弟らしい。
駄目天使満載だな、ハハ。

始めて出会った神様はドランさんだった。
やたらと笑うカールおじさん。
実は結構したたかで農家にアドバイスをさせられたな。
でも彼に神についての初心者編を教わったのも事実だし、神様ズとしては最も長い付き合いとも言える。
今後も良好な関係を続けていきたいものだ。
まあ揉める要素何て全く無いんだけどね。
先日遂に『畜産動物治癒』が『動物治癒』に進化したと喜んでいた。
彼も着実に成長しているみたいだ。
良かった、良かった。
アイスクリームショップも順調にいってるみたいだしね。

次に出会った神様はレイモンドさんだ。
相変わらずデカいプーさんだ。
しょっちゅう生ビールをがぶ飲みしているのを見かける。
もう慣れてしまった。
もう苦情は止めておこうと思う。
此処は異世界だ、日本の常識を持ち込んではいけないな。
でももう少し早く話して欲しいものだ。
彼と話していると思わずゆっくりとした会話になってしまう。
マイペースにも程があるよ。

想い返してみると、養蜂の村カナンで『サンライズ』の皆さんと出会ったんだった。
『サンライズ』の皆さんはしょっちゅうサウナ島に現れては声を掛けてくれる。
今では心許せる友人となっている。
いい加減酔っぱらうとカイさんは決まって私達と出会った時の話をしだす。
もはや恒例となっている。
しょっちゅうギルからまたその話なの?いい加減聞き飽きたよ、と言われている始末だ。
その度に、いいから聞いてくれよとギルはカイさんに絡まれている。
見慣れた光景だ。

実は北半球に俺達が向かう事になって以降は、魔獣の森でのノンとギル狩りは『サンライズ』の仕事になっていた。
今では島野商事のお抱えハンターなのである。
そろそろS級に成れるかもと先日言っていた。
頑張って欲しいものである。

タイロンでは英雄扱いされて辟易してしまった。
勘弁してくれよな。
こういうのが一番嫌なんだよ。
もう外っておいてくれよ。
結局タイロン王国にはあまり立ち寄っていない。
今後もそのつもりはないのだけどね。
ジャイアントイーグルは・・・雑魚だったな。

そして私達は五郎さんと出会った。
今でもズブズブの関係は続いている。
私にとっては尊敬出来る大先輩である。
ギルも相変わらず五郎さんに会うと上機嫌になる。
孫と祖父の関係は変わっていない。
最近の五郎さんはギルの造るワインにド嵌りしており、しょっちゅう「ギル坊ワインをくれや」と言っている。
ギルも嬉しくなって、たまに無料で差し上げているみたいだ。
そういう大雑把な所は私に似なくてもいいのにね。
苦労するぞ?ギル。
程々にな。
私は五郎さんとは魂の繋がりを感じる。
もしかしたらとある前世で私達は、何かしらの深い間柄であったのかと思うぐらいだ。

そしてエンゾさんと出会った。
出会った頃の威厳は最早無い。
スイーツ好きの上から女神でしかない。
一体全体、私の事をどう思っているのか・・・
私はパティシエじゃねえっての!
何が経済の神だ!
只のスイーツ好きの女子じゃねえか!
いい加減にしろ!エンゾ!
この人にはもう文句しかない。

そしてこの世界にお地蔵さんを広めることになった。
深夜にひっそりと教会に忍び込むなんて無茶ぶりにも答えたな。
あーあ、もう二度とやらねえぞ!
ふざけんなエンゾ!
敢えてもう一度言う、ふざけんなエンゾ!

マーク達がサウナ島にやってきたことは今でも鮮明に覚えている。
あいつらは本当に命がけの旅路だったみたいだ。
負傷者集団だったあいつらを受け入れるのには少々勇気がいった。
だってあの当時のサウナ島は世界樹の葉の事件が尾を引いていたからね。
でも腹を決めた私達はマーク達を受け入れた。
これが正解だったみたいだ。
今ではこいつらが居ないサウナ島なんて考えられない。
そして私はマークからこっそりと相談を受けていた。
それは社長という激務がそうさせたのかもしれない、マークは仙人に進化していたのだった。
でも私にとってはそれは当然の事と思えた。
それぐらい私はマークに信頼をおいているし、その資質は充分にあると思っていたからだ。
ある意味こいつなら神に成っても可笑しく無いと思っているぐらいなのだ。
このサウナ島の神になってもおかしくは無いと感じている。
本人にとってはどう感じているのかは分からない。
あいつのことだ、滅相も無いと言い出しそうだ。
まあ好きにしてくれよ。
今後もサウナ島と島野商事をよろしくな。
お前に任せたぞ。

そして島野一家に新たな仲間が誕生し、島野商事が設立された。
島野商事は今では社員数七百名を超える大企業になっている。
もしかしたらこの世界では最も巨大な企業なのかもしれない。
そうなってくると、もうサウナ島は街では無く国の規模になってきてしまうのかもしれない。
気が付いたら私は国興しをしてしまったという事なのだろうか?
勘弁してくれよな。
国王は私では無くマークということにして欲しい。
それでいいよね?
私は御遠慮願いたい。
柄では無いからね。

フードフェスは楽しかった。
良い思い出だ。
大将の寿司は旨かったな。
また食べたいなと思う。
明日はレストラン街の寿司屋に行ってみようかな?
結局あの時のフードフェスの一位は、大将の寿司屋の屋台だったみたいだ。
頷けると私は後日知って納得した。
私達は結局その後は参加はしていないが、フードフェスは毎年開催されており。
今ではサウナ島で提供される食事が多数を占めているということだった。
来年あたりは顔を出してみようかな?

ゴンズさんは大たこ焼き屋の好評に鼻を高くしていた。
自分の所で養殖した大蛸がやっと物になったと喜んでいる。
そしてサウナ島を真似て、本格的にマグロの養殖に乗り出す気でいると先日教えてくれた。
彼は今後もレケとの交流は続くのであろう。

それにしても出会った時の無礼な態度は今でも覚えている。
ワインをぶん取られてイラっとしたな。
その後私はレケと出会った。
あいつの名づけが一番的を得ていると思う。
相変わらずヘベレケのレケだからね。
漏れなく毎晩ヘベレケているからね。
困った奴だ。

そんなゴンズさんは神気減少問題の解決について申し訳ないと私に謝ってくれた。
何度も協力が出来なくてすまなかったと言われたが、気にしないで欲しいところだ。
これはある意味で私が解決しなければならない出来事だったからだ。
創造神の爺さんが私に与えた試練みたいなものだしね。
でもその気持ちだけは受け取っておこうと思う。
ゴンズさんはこれでいて人一倍責任感が強いからね。

次に出会ったのはルイ君だ。
ルイ君は神様では無いのだが、ゴンの留学をきっかけに彼とは出会うことになった。
出会った頃の彼は頼りがいが無く、実にお子様感満載だった。
でもせっかく出会ったからのだからと、大いに要らない世話を焼いてしまった。
今でもルイ君は私を見かけると駆け寄ってくる。
お前は小型犬かっての。
飼い主に群がる小動物と変わりない。
ゴンとリンちゃんとの交流は続いており、サウナ島で一緒に居るところをしょっちゅう見かける。
友人関係は継続中だ。
いつそれが変わるのか正直見物でもある。
ルイ君がゴンに恋心を抱いているのは一目瞭然だからね。
でもゴンがそれに気づいているとは思えない。
何とも小説に成りそうな話である。
私は肯定も否定もしない。
まあ好きにやってくれよ。

そしてメッサーラだが、計画していた全ての学校を建設し終え、今後は運営の可否を問われる段階になっていた。
これは次のステージに移ったということだ。
ルイ君は連日会議に忙しくしているとぼやいていた。
でもそれは嬉しい事だと胸を張ってもいた。
もうメッサーラもタイロンも、そしてメルラドも盤石な国家運営と友好条約から得られる恩恵で平和と発展は確約されている。
私が口を挟むことなんて何もない。
そもそも口を挟む気は全く無いのだが、何故だかいちいち私に報告を上げてくれる。
要らない報告だとは言えないのが現状だ。
皆な良かれと思ってしてくれているのだから。
そこまで無慈悲には成れない私であった。
私は政治には巻き込まれたくはない。
程々に頼むよ・・・

ランドールさんは私にとっては只のエロ神では無い。
ある意味私にとっては神様ズの中で最も胸襟を開いている間柄かもしれない。
彼はある意味私の指導の元で進化を遂げた神である。

ランドールさんに言わせると、
「大工としての師匠はリョウイチ・カトウだが、神としての師匠は島野さんだ」
と言うことらしい。
まあそう言って貰えるのはありがたいが、少々照れるものだ。
彼は遂に先日の突貫工事にて『合成』を獲得していた。
これで新たな能力の獲得は三つ目だ。
今後も新たな能力獲得に励んで欲しいところだ。
次は何だろう・・・熟成かな?
それは無いな。

ふう、そろそろサウナを出ようか。
汗びっしょりだ。

まだまだ振り返りは続く。