「ねぇねぇ、放課後、激辛ラーメン食べに行こ!」

ある時、高坂葵が声をかけてきた。彼女は重度の辛党だが、周りに誘える人がいないらしく、よく私を誘ってくる。
特に断る理由がない時は、一緒に食べにいく。

中学の時は、友達と放課後にどこかへ行ったことが無かったから、何だか新鮮だ。


高校で病気のことを隠して正解だったと思う。
隠し事をしているという多少の罪悪感はあれど遠慮されるよりは良い。

「それにしても、ホントに辛いの強いよね!尊敬しちゃう!!」
「うん」
とうなづいた後、「でも葵は異常に強いよね」と言うと「まあねー」と自慢気に笑う。


辛味も、痛みの一つ。だから私は、辛さに強い訳でなく、感じないだけ。
だからこそ葵は本当にすごいと思う。異常な程に。