____私は、普通じゃ無かった。


生まれたときから痛みや熱さ、冷たさを感じることはできなかったし、汗をかくことはなかった。
というのも、私は先天性無痛無汗症という病気を患っているからだ。

過去には、無痛だなんて羨ましい、という人もいた。
けれど実際、全くそんなことはない。

痛みを感じることがない、ということは怪我をしても気づかない、ということ。
それに、熱さを感じることがない、というもの熱を出しても自分では気づけない、ということだ。

だから、痛みは大切なんだ。


そんな私は、危険なことは避け、毎週病院へ通い検査をしている。


原因は遺伝子の変異ということは分かっているけれどまだ治療は行われていないし、この病気の患者も少ない。
それでも、医者である父はいつか絶対に治す、と言ってくれた。


だから私は、父のその言葉を支えに今も生きている。

確信がなくても、希望があれば人は頑張ることができるから。