「ツイてない」なんて言わないで❤️

☆ッアーーウッ!(J・B風に) 
 無沙汰を仕りました m(_ _)m リハビリ投稿です。エロエロ大目にひとつ……。

 新年一発目のザ・作業用BGMは、
『ぼくたちの日々』(スガシカオ)。
 某ドラマ主題歌でしたが、ドラマタイトルを聞いても内容が思い出せず……。

 続きましてー。
『地球(テラ)へ…』(ダ・カーポ)。
 今頃アレですが、地球に優しく、いきましょう。
 伝説のアニメ映画の主題歌であります。
 サビの「Coming home to Terra」という心の叫び(多分)がセツナイ……。
 ついでに。
 Y●uTu●eの「~ずんだもんに歌わせてみたら…」も割とよかったです。
(ずんだもんがナニモノかは知らん)。

 ほどよく涙目になったところで(うん?)、
 〆めに『ジョビ・ジョバ』(ジプシー・キングス)を。
 当然の如く私、「ジョビ! ジョバ!」部分しかハモれません。
 まあ、ご陽気に。

ーーーーーー

 リハビリ回ですので、前書きで終わらせていただきたく……ダメっすよね……

(2025年1月執筆)

ーーーーー


 昨年のホワイトクリスマスを経た数日後……。
 いえ、この辺、雪なんて降ってましたっけ? お母さま。
 ああ、そういえば「クリスマスが近付いたら白髪が増えた」と兄様が溢してましたね(イッツ・つるピカジョ~ク)。白髪…………where?

 ともあれ、そんな暮れも押し詰まった頃合いに、可愛らしい少女が一人で来店されたのです。
 早速で恐縮ですが。再現VTR、スターティん――。


★★★


【チッ】

 鋭いそれが、来客スペースの宙空をスパッと切り裂きました。
 発したのは、眼前に座る女の子。
 学校指定と思しき濃紺のジャージに身を包み、セミロングの黒髪をひとつに束ね。
 ピンクのマスクは片耳だけ外して、エアコンの微風にプラプラ揺れております。

 先ほど、硬貨受け入れ口に無理くり……旧札の野口英世物語(しわくちゃ)を押し込もうと悪戦苦闘しておりました。
 残念ながら紙幣は受け付けませんし、釣り銭も出ない仕様です。説明書きにも謳ってあります。この辺は兄様の不手際と言えなくもありません。

 声を掛ける前に自身で悟った少女は、百円硬貨を連チャン投入すると、
 
『嘘よ! だって、会話弾んだもん!』

 という、某かの台詞ぽいボタンを押下したのち、冒頭のアレを飛ばしたのでございます。

 清楚で演技派と評判の有名子役に似た美少女ですが――。
 この場の空気を汚しかねない音でした。
 
【あーしさあ……】

 あ。別人のようですね。
 酒焼けしたよなガラガラ声で、この言い草。

【「織玉(おだま)✕✕」って名前で、ドラマやら映画やら出てるんだけど。知らね?】
「凄い似てらっしゃいますね」
【だから。ご本人様だよ】
「コスプレ?」
【だ・か・ら!】

 だからDA・KA・RAって……大黒(おおぐろ)さんですか? ※1

 胸元を一瞥すると。
 ジャージに貼り付けられた名札は新品と見紛う真っ白さ、黒ペンでくっきりと「織玉」の文字。
 まさかの芸能人来店の巻?

「恐れながら、この『声』はどなたでしょう?」
【ずんだもん】

 間・髪を入れず。
「カイワハずんだもん」?

「…………」
【一昨日、クリスマスだったじゃん?】
「え、ええ。そう聞いております」
【こんなもんが置かれててさ】

 ポケットをまさぐって取り出したのは――。


☆☆


「……『不在通知』?」

 10センチ四方の赤い紙片。
 担当者欄には「サンタクロース」の文字。

 宛名は、

「……のりお……?」
【「@りお」! あーしのHNだよ! どこのオッサンだっつの】
「これは失礼を」

 サンタさんの不在通知なんて初見ですよ。ふうん。
 サンタさん、不在通知……サンタさん退散……サンタ! サンタ! 胃酸?!……うふふ。すりゃあ激務ですものね。

【ドラマの撮りが終わって、北京時間の20時から家で待ってたのによぅ】
「それはお疲れ様で……日本時間だといつです?」

 時差もよく分からないですけど。

【うとうとしちまって……日付変わった頃に、思い付いてポスト覗いたら……それが置いてあった。はんっ!】

 卓の下あたりが、ゴンッと鳴ります。
 それよりも、現実に「はんっ!」て仰る人が居てるのに驚きです。

「あのう……サンタさんって、大概――」
【サンタさんが忙しいのはあーしでも分かるよ? 分かるけど……こりゃあんまりじゃん?!】

 おおぅ。
 当たり前のようにネタばらししなくてよかった。
 まだ「信じてる」お年頃(?)だったとは。

「――のりおちゃんは何年生です?」
【「@りお」な。中1だけど?】
「……えっと、ご両親は――」
【お母さんは……専業主婦? お父さんは、ずっと海外に単身赴任中。4年くらい前に向こうで会ってから、顔合わせてない……かな】
「左様で……差し支えなければ、どちらに?」
【シンガポーゥ】
「発音良くて草」

 通常は、パパかママですよね、被疑者。

「これまでは、普通にプレゼントも――」
【もれなく置いてあったよね……】

 力の抜けた囁き。
 
 虫の知らせか――今年に限って、某か嫌な予感がして――ご法度とは思いつつも、起きて待ち構えようと思ったのだ……。

 @りおちゃんは首を前に少し傾けると、鉛色の目を――スーパーの鮮魚売場でよく見掛けるアレです――下方に向けました。

【……今年のあーしは多分、いい子じゃなかったんだ……】

 すきま風のような寒々とした呟き。
 我知らず、横隔膜がピクンと跳ねました。

「この不在通知。連絡はしてみたのですか?」

 一応、「05●0……」との番号が記載されております。

【……やみろ】
「え?」
【やみてけろ】
「どうして……」
【今年のあーしはその資格が無いんだ】
「では。何故。ここにいらしたので?」
【……啓蒙活動……】
「はい?」
【あんたの口から、世の子どもたちに伝えて欲しいんだ。いい子にしてないと、あーしみたいに(ツイてないことに)なるんだぜ……ってな】

 弱々しく笑うと、菩薩の如き視線を向けたものであります。


☆☆
 
 
 マネージャーから電話だと、@りおちゃんがスマホを持って外へお出になりました。
 渋る彼女を適当に言いくるめた私は、不在者通知の「あの番号」へ問い合わせを試みました。当然、店の電話で。


 呼び出し音ののち、機械音声が流れます。

『ッアーーウ! アーイアーイ、ステーショントゥステ――』 ※2

 発作的に受話器を投げつけたくなり申したが、我慢我慢。
 気が急いて「※」をポチっと。

『~お電話ありがとうございます。サンタ代行サービス✕✕です。不在者通知票に記載された――』

 手早く番号を入力し、「※」をバーンっ。
 
『~ガイダンスの途中でも、そっと「※」印を撫でていただくと――』

 やがて、サンタ代行担当者へと繋がりました。


☆


「合鍵の受け取りを失念した?」

 代行会社は民間の秘密結社とのこと(どこかで聞いた風な)。
 依頼主のパパさん(やはり)は初めて利用したそうで。
 また、相手の担当者も研修上がりで、鍵の受け渡しに不備が生じたのだと。

『慌てましたあ~家に着いたら鍵が無いのに気が付いてえ~』
「左様ですか……」
『深夜だしぃ~、かぎの救●車呼ぶしかないかーってえ~』
「かぎの救●車で羞恥心は買えませんけどね」
『もうー思わず祈りましたよぅ~』
「お祈り?」
『……お願い! サンタさん――』
「じゃお前、ダ・レ・だ・よ?」

 受話器の向こうで、妙に逼迫した気配。

『あ…………ハズしちゃいました?』
「左肩の亜脱臼だろ。右も揃えてやろうか」
『こわいこわいこわいこわいっ!!』

 
 ……多分今の私は、最終ラウンドを迎えたボクサー……のような顔をしてますね。
 きっと。


☆☆☆

 
 遅くとも、年内には再配達されるようです。

【うぞっ! マジぇ?!】


 念入りに、@りおちゃんへ釘を刺します。

「サンタさんは公人ですが――」
【う、うんうん。公人(きみと)は公人(きみと)だもんね】 ※3
「(きみと?) 面が割れると生きては行けません」
【そ、そうだよね!】
「仕事を失ってしまいます」
【絶対見ない! てか部屋空けとく! その日はお母さんの部屋で一緒に寝る!】

 はからずも、母娘水入らずのシチュエーションに。
 それは重畳。

【よかった……サンタさん……】

 口元を両手で覆い……小刻みに震えつつ目を潤ませる@りおちゃんは、教会によくあるアレ(ド忘れ💀)みたいに、眩く光って見えました。

 プレゼントはさておき、この娘は世界中を巡る彼or彼等(※実在するかは定かではありませんが)の身を案じていたものでしょうか……。


「ゴッド・ブレス・ユー……」

 願わくは、サンタの加護を――。


【ありがとう……勇気出して、来てよかった……】


 愛嬌ではち切れんばかりの面(おもて)が、名女優の「素」であるのは間違いないのです、お母さま。

ーーーーー

※1 『DA・KA・RA』大黒摩季さん2枚目のシングル。
※2 『リヴィン・イン・アメリカ』(ジェームス・ブラウン)より適当に抜粋。
※3 『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』(七月 隆文) 主人公の名より。