★本話の作業用BGMは、『織江の唄』(山崎ハコ)でした。
 作業用BGMとしては適切ではありませんでしたね(ノリが)。

 映画『青春の門』(1981年東映版)の主題歌だったそうで(作詞は、原作者の五木寛之御大)。
 この映画は、ナンといっても松●慶子さんがですね……。
 こりゃあイカンですばい(〃ω〃)ということであります。

★お次は、

『今夜だけきっと』(スターダスト☆レビュー)。
 PV版が好きです。最近こればっかり観てます。
 明日になれば、ワスレラレルノニね……

★そして、本年ラストを飾る(?)のは、

『ハトマメ~Say hello to the world.~』(Students)。

 20年ほど前、某スーパーからくりTVから派生したマッキープロデュースのユニット。
 ファニエスト外語学院の先生と生徒さん(番組設定)が歌い踊ります。
 リードヴォーカルはセイン・カミュ氏(先生役・若い!)です。
 PVでご覧いただくと、多少、アレコレご理解もススむ……かも。
 おっと、何故か手元にCDが……。
 ロ●アのプーチそに送りつけてやりたい……意味ないでしょけど。
 
(いつもとおり、前書きで燃え尽きましたマル)

(2023年12月執筆)

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「深淵のアビス」地下鉄大江戸線ホームで降車し、遥か頂上を目指してエスカレータと階段を幾度も乗り継ぎ。
 荒い息を整えつつ、A4出口からやっとこ外界へ這い出ると。
 眼前には、いつもの横断歩道が――。

【決まって、信号は赤なんです】

 うっすら湯気の立つ、白いスチール缶のミルクティーを諸手で挟みながら。
 眉間に一本の縦皺を刻んだ若い女性が、熱い吐息と共に零したのでした。


★★★


 とある動画を、ユーチ●ーブで拝見しております。
 開店前の御苑にて。
 掃除を終えた私と、暇そうに後を付いてきた綾女の二人で。

 外国の方向け? なのか、「漢字を半紙に(したた)める」という真っ当な動画です。

 漢字と閲覧数をチラチラ見比べ、「(しゅ)」という文字をチョイスしてみました。

 ケレン味の無い所作でさっと書き終え、すぐ様リピートされます。
 編集はご主人、筆を手繰(たぐ)るのは奥様とのこと。

 繰り返し眺めているうち、脳内に『天は神の栄光を語り』が流れ出しました。
 中学生の頃の合唱曲。
 動画にあわせて、思わず――

「(小声)夜はー夜ーに…知識送るぅ…夜はー夜ーに…知識ぉテンはぁ~ミ天はぁー御神(みかみ)ぃーの栄光ぉ~を語ーり空は()テらは御手(みて)ぇのーわざ~わーざを――ハァ、ハァ」

「……なんで全パート同時にイケるて思ったの?」

 呆れ顔で綾女が(のたま)いました。

「肺……ガ……苦し……」
「合唱曲アルアルかもだけどさぁ」
「ちよと懐かしくて(えへ)」

 なぜか、この合唱曲だけは真面目に練習したものでした。
 音楽の先生にちょっと誉められたら、もうそれだけで「善き思い出認定」です。


「しっかし、シンプルな動画だね」
「いっそ清々しいじゃありませんか。美しい筆遣い、憧れます」

 外国の方だけでなく、日本の若人にも見ていただきたい……。
 書道を世界遺産(無形文化遺産)に、という動きもあるそうです。

 わざと電マ当てたよなビビビの丸っこい文字を(あらわ)す妹へ、この熱い想いを……という頃合いで、来客を告げるベルが鳴ったのでございます。


☆☆☆


 焼肉屋と間違えた(「苑」ひと文字で?)カップルが退散した(のち)
 入れ替わるよに滑り込んだお客さんがひとり。

 艶の無い、黒いマフラーを巻き付けたまま、静かに座した若い女性。
 色素の薄い長い髪は透けるよう、白い肌に真っ赤なルージュだけが生々しく息づいております。
 雪女――現実にいらっしゃるのなら、こんな感じかもしれません。

 挑戦的に見下ろす切れ長の目……背後の綾女が、ごくりと唾を飲み込んだ気配がいたしました。

『ひ●つ積んではぁー父のためぇ……』 ※

 チョイスしたボタンがこれまた辛気くさい。
 年の瀬に、コレはない――ないだろ、ハゲ。
 どういう神経してるの。衰弱してるの?
 誰のお声かなんて、確かめる気も起こりません。

【……世の中、ツイてないことばかりですね……】

 挨拶をすっ飛ばして愚痴から入る――生き急いでらっしゃるのでしょうか。

「ものすっごく言い辛いのですが……『ツイてない御苑』へようこそ」
【どういたしまして】

 で、まずは冒頭の台詞を呟いたのでした。


☆☆


「信号が……偶々(たまたま)?」
【時間をズラして電車乗ってみても、大概――】
「――赤、であると」

 勝手なアレですが、

「全て大江戸線(アイツ)の所為では?」
【否定は出来ません】

 なにせ、「地獄の底を走る」と噂される地下鉄です(※神幸個人の感想)。


 毎出勤時、赤信号から「おはよう!」まで何かしらツイてない事が続くので、タイムカードを押す頃合いには、

【社員は皆、仕事のモチベーションが大幅に下がってしまいます】

 とのこと。

「友情パワーでどうにかなりませんか」
【なりませぬ。ジャンプ読まないし】

 従業員は正門ではなく、脇の通用口から出入りするそうで、

【江戸城から見たら「鬼門」にあたりまして】
「はあ……江戸城? 何か(ゆかり)が?」

 視線を外した女性は、一瞬瞑目し。

【……(わたくし)、●●区在住ですが】
「左様で」
【近所の戸建てが売りに出ておりまして】
「ははあ」
【木造二階建て、築40年で……99万円――】
「家?! (やす)ッ!」

 真っ赤な唇が、ニヤリと歪みました。

「……イエ・ヤス?」

 ――回りくどい。

☆☆


【その通用口は、社員から「痛痒門(つうようもん)」と揶揄され、畏怖の対象となっております】
「つうようのもん……」

 呪われた「通用門」――。
「いちゃもん」のような気もいたしますが(うまい事言えてます?)。

 通用口までの短いストロークで、数々の忌まわしき伝説が社史に刻まれてきたのだとか。

「……『痛痒門外の変』とか?」
【通用口で暗殺事件はありえひんのです……理由は後述しますが】
「……実は、通り抜けるごとに眉毛が濃くなるという怪異の――」
「(くどいぞっ! 引っ込め!)」

 背後から処女((眉毛は濃い))の罵声が。

【??】 
「お気になさらず。……ああ、壁一面の落書きなどは?」
【そんな悪戯は皆無でした】
「…………バ●クシーの」
【逆に縁起が良いですね】

 ややウケ。
 雪女の整ったお顔が若干緩みます。


 ふと、思いつきました。

「通用口を西側にもう一つ作れないですかね?」

 白く美しい女性は、呆れたようにのけ反ると。
「分かってないな」というオレ様なお顔で、わざとらしくため息を吐きます。

【これは試練でもあるのです】
「はい?」


 鬼門・魔の痛痒門で、ほにゃらら争いから脱落する者(なんの?)が続出する一方、それを乗り越えて出世しようと野心を抱く者も少なくないのだとか。

 正直、要領を得ない話で……ちよとツイて――付いていけません。

(こじつけ感パネェ。社員みんなドM気質なん?)

 綾女が呟きますが、私も同感です。

 だって――出入口はそこだけなんでしょ?



【部長級以上――所謂、労組を抜けた者は正門から出入りします。(ゆえ)に、暗殺が起こり()るとすれば、正門になりますね】
「なるほど。失礼ですが――」
【経理課長です】

 被せ気味。遠慮なし。

「課長イェ~。エリートなんですね」
【否定はいたしません】

 心なし微笑を浮かべると、黒いニットの胸前が隆起します。
 背後から、超音波の如き金切り声が(微かに)聞こえました。

「正門は目前――きっと通用します。試練は乗り越えられるでしょう(?)」
【だといいのですが】
「大丈夫。貴女にはその資格があります(知らんけど)。♪ここまで頑張ってきたのですから~っ」

 正直、未だお話がよく見えないのですが……。

 無理矢理気合いを入れて、劇団●季風に歌い上げてみますと。
 女性は()も満足げに、スマイルして見せたのでございます。


 ……なるほど。


☆☆☆


 ……神幸ちゃん、「通用します」「乗り越えられます」とか、「資格があります」って不自然に持ち上げてるけど……。


 お客さんがミルクティーに口を付けたタイミングで、耳元へにじり寄ったアタシ。

(神幸ちゃん)
(なんでしょう?)
(『通用門』って、『通用する・しないを判定する門』じゃないからね?)
「そうなの?!」

 素でキョトン顔まぢウケるw

 可愛いすぎて腹イテぇ & 勘弁しちくり!

「ゴッド・ブレス・ユーだよーッ!」

 ちょとポンコツ気味な愛すべき(※正 : 「姉」)に代わって(原文ママ)。
 僭越ながら、調子こいて〆めてみたのだ!


◆ ◆ ◆


 =永峰姉妹の編集後記(嘘)=

「『姉』ぐらい書けるわ! ほらぁ! ビビビ!」( by 電マを操る妹)
「綾女ちゃん高校の頃、冬休みの宿題で『私のお柿ちゃん』て作文書いて赤ペン入れられてましたよね。HAHAHA! 愛情イェー」( by 電マを操る妹「の(アネ?)」)
「柿はそこまでだ! ……弄るのは眉毛ダケにしちくり(墓穴)」
「ゴッド・ブレス・ユー」


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※『賽の河原』(人間椅子)より。