小さい頃から、モデルになりたかった。けど、いとこにすごいかわいい人がいて、その人は事務所に入って芸能活動を始めた。
そりゃ親戚が芸能人になって嬉しいよね。でも私はそのとき、心からおめでとうって言えなかった。
時間が少しだけたって、いとこは無事、映画にでることになった。ここでは「おめでとう」って言うことができたけど、心の底からではなかった。言うことはできた。できた。けど、やっぱりなんかもやっとした。
それから一年がたって、やっぱりモデルになる夢は現実を知っても諦められなくて、ある雑誌の読モに応募した。書類審査は無事通過することができたけど、第二審査で落ちてしまった。その夏、私の落ちだオーディションの最終審査があって、怖かったけど、どんな子が受かるのか気になって見に行った。グランプリになってオーディションに受かって読モになった子はすごいかわいかったし、面白かった。なんかそのとき、あぁ、私なんて選ばれなくて正解かって思った。その時に全て終わったような気がした。
何もしないまま学年があがって小学六年生になって、音楽と推しだけが生き甲斐になって、外で遊ばずに室内に引きこもるようになった。でもねずっと変わらずその雑誌は読んでて。その分、やっぱりこの子かわいいじゃんとか、思っちゃう自分も嫌だった。
時間だけがずっと止まっているような感じでなにもしないで曖昧なまま学校生活おくって、きずいたら3月。卒業式の練習が始まってた。すごくまずいと思った。オーディションに落ちてから自分の顔がすごく嫌になって、夏でも、体育の授業でも、給食の時間以外ではマスクを取らなかった。けど、けど、やっぱり卒業式ではマスクをとらないといけない。すごく怖くなった。でも諦めてマスクをとって、下を向いて練習に参加する。卒業証書を受け取るとき、みんなが一斉にこっちを見るからすごく怖かった。がんばって笑って、練習が終わるのを待つ。自分の席に戻った瞬間にマスクをつける。それくらい必要なものだった。
何でだろ。こんな風に依存しても、自分の顔嫌いになっても夢は諦められなかった。でも諦めないと。そんな風に思っている自分がまたいやになる。起きて、学校に行って、帰ってきて、寝る。そんな、毎日同じ生活。
そんなある日、こんな曲に出会った。「わたしのアール」という曲。すごいかわいい曲調だけど、深い歌詞。この曲を聞いてから、もう少し自分がマシにならないとなって思った。カーディガンを脱いで三つ編みをほどいて背の低い私は今からとびます。ってゆう歌詞がずっと頭の中を回ってる。ぶっちゃけ、私は今のクラスが好きじゃない。メンバーも担任も、なにもかも全て。でも、この曲に出てくる女の子からすると、結構マシなんだよなって思うようになった。そんな曲。関係あるのか自分でもわからないけど、この曲を聞いてから、生きようって思った。ここでもまた夢は諦められなくって、忘れたいけど、忘れられなかった。
「くらべられっ子」この曲を聞いて、あぁこれだって感じた。自分で勝手にいとこと比べて、オーディションで周りとくらべられて。くらべられっ子くらべられっ子それでも生きてるよ 大した結果も出せないのに図々しく生きてるよ。あぁ、その通りだ。この曲を聞いてから、オーディションに落ちても、クラスでひどいことをされても生きてるからいいじゃん。なんかそう思った。生きてる。それだけでいいな。って思った。オーディションのこととか、私の傷は時間がたてばふさがる。私はこれから、今のうちに傷つこう。生きてさえいれば、楽しいことも多少はあるはずだから。自由に生きよう。そう決めた。
まず最初に脱マスクをして、自信を持って、オーディションをまた受ける。また落ちると思うけど、少し心が軽い。
次の卒業式ではマスクをはずして笑えるように。何を言われても生きてさえいればいい。
自由に、人生は楽しんだもん勝ちだ。