「福、蓮はね…」
「いいの、聞きたくない。
幸、もし、私が間違ったことやヤバいことをしでかしそうになったら、大きな声で叫んで。
そしたら、幸の声が私に届くから」
幸は、この少しの間に起こった出来事を、もう一度頭の中で整理したかった。
それほど、驚くことが多すぎる。
「幸、そろそろ起きる時間だよね?」
「私は福に体を貸している間、何をしてればいいの?」
「幸には今まで通りに全部見えるから、ただ、意識は私が支配してるけど。
ごめんね、でも、お願い、私を見守ってて」
「うん、分かった」
幸はそう言うしかなかった。
可愛い妹のお願い事を、突っぱねることなんてできない。
福がそれで幸せになれるのなら、体を貸すことくらいなんでもなかった。
「福、今日から新学期の始まり。
ちゃんと幸の様にふるまってね」