「幸と福の誕生日は9月25日でしょ?
だからこの9月を選んだの…
神様との約束はこの一か月。
9月が終わる時に、私はまたあの場所に帰る…」
幸は何も言えず黙ってしまった。
「ねえ、幸、喜んでよ、私達またこうやって会えたんだよ。
悲しい気持ちにならないでこの一か月は楽しく過ごしたい。
それに、神様と約束した事を、絶対やり遂げなきゃならないし」
幸は、福のこういう明るい性格が大好きだった。
前向きで、くよくよしない。
一卵性双生児で生まれたはずなのに、幸と福は全く違う性格だった。
「神様と何を約束したの?」
福の顔は見えないけれど、微笑んでいるのが分かる。
「れんれんに告白して、れんれんと恋愛するの」
「え?
れんれんて、大石蓮?
恋愛するって?」
大石蓮、私達の幼なじみ。
そう、福はれんれんが大好きだった。
そして、蓮も…
でも、今の蓮は、モテモテのチャラ男に成り下がっている。
今の幸の私になんて、全く興味もないのにつき合えるわけないじゃん。