「分かんない… そこが天国なのかとかは。
でも、私達が住んでる島の神様は、一つだけ皆に贈り物をしてくれて、一つだけ、願いを叶えてくれる」
幸は、不思議なことに、とても近い場所に福を感じていた。
「私は、神様に、17歳の誕生月に幸の元へ行きたいってお願いした。
今までそんなお願いをした人はいなかったから神様は驚いたけど、たくさんの決まりや制限を作って、私をここへ送り出してくれたの」
「決まり事や制限って?」
「そんな事は幸は知らなくていい。
それより、幸…
私にこの体を一か月貸してくれない?」
「貸すって?」
幸は今でははっきりと分かっていた。
私は、本物の福と話している。
「貸すというか…
例えば、幸の体がステージだとしたら、私にしばらくその舞台に立たせてほしい。
幸は、舞台袖から私の事を見守っててほしいんだ。
でも、目を閉じてこうやって眠りにつけば、私達はいつでも話ができる」
「でも、私じゃないといけない時だってある」
「その時は、幸が舞台に立てばいい」
「うーん、何だかよく分からないけど…
え、でも、福、一か月ってどういう事?」
幸はすでに嫌な予感がしていた。