福は、八歳の誕生日を迎える一日前に死んだ…



幸と福は、一卵性双生児としてこの世に生を受けた。
しかし、母体の中の異常で福には栄養がいかず、福はとてもとても小さく生まれた。

幸は、比較的早くに普通に戻り元気に育ったが、福は、心臓や肺に先天性の異常があり一日一日を生きて行くことがやっとだった。

病院の先生に、「頑張っても小学校入学は無理でしょう」と言われた福だったが、持ち前の明るさと力強さで、幸と一緒に小学校の入学式を迎えることができた。

幸も福も両親も、もう大丈夫だと思っていた。

それなのに、運命というものは残酷なもので、二年生に進級した今と同じこの季節に、夏風邪をこじらせた福は肺炎にかかり、あっという間に天国へ旅立った。


「福…どこにいるの? 
幸に顔を見せて…」


幸は、夢なら醒めないでと心の中で祈った。


「幸、よく聞いて。
私は、魂だけで幸の体に帰ってきたの。
今も幸の頭と心を借りて、こうやって話せてる。
私は、神様とたくさんの約束をして、だから、今ここに居られるの」


「神様?
福は、天国にいたの?」