蓮は、幸の言葉に少し安心した。
幸は小さい頃から、本当に大人しかった。
蓮の母親に言わせれば、幸は両親の愛情不足で育ったからだということだった。
確かに、幸の両親は福が亡くなるまで福につきっきりで、幸の幼稚園にはいつもおばあちゃんが迎えにきた。
蓮は、子供ながらに、幸が可哀想だと何度も思ったことを覚えてる。
「幸、なんか、俺は感動してる。
お前もやればできるんだな。
もう、弾け過ぎ?くらいに明るいからさ」
蓮は笑いながらそう言うと、最後の弁当の残りを口の中に放り込む。
「じゃ、俺はそろそろバイトに行くから」
「あ、うん。
れんれんのバイト先ってどこ?」
「そこに見えてるだろ?
あの、オープンテラスがあるハワイアンのハンバーガーレストラン」
幸は、確認するように何度も見ている。
蓮はなんとなく嫌な予感がした。
「幸、絶対、ついてくるなよ」


