「じゃあな、透子、また、連絡する」


蓮は透子に手を振ると、すぐに、幸に向かって行くぞと目で合図した。
でも、幸は、透子をずっと見ている。


「幸、時間ないぞ」


蓮はもう一度、幸を呼んだ。
すると、幸は振り向きざまに透子に向かってあっかんべーをした。
蓮は絶句し、透子もポカンとしている。

蓮は、頭の中がぐちゃぐちゃだった。
幸が完全におかしくなった…
その時、一瞬、蓮の頭にある思いがよぎった。

福??


蓮は幸を連れて、駅前にある小さな公園のベンチで昼食をとった。

この駅前にあるハワイアンスタイルのハンバーガーレストランが、蓮のバイト先だ。
蓮は、幸と少しでも長く話がしたかったから、ギリギリまで一緒にいれるこの公園を選んだ。


「幸ってさ、福がいなくなってから、れんれんって呼んだことなかったじゃんか?
 どうしたんだよ、急に」


幸はお弁当を美味しそうにほおばっていたが、蓮の言葉をを聞いて、急に箸をおいた。


「そうだったっけ?」


そう言う幸の目は泳いでいる。


「そうだよ、それに俺の事だって避けてただろ? それがいきなりさ…」


「幸が、れんれんの事を避けてた?」


「と、俺は感じてたけど」