午前の授業が終わり、福は正門の前で梨華達と別れた。

蓮を待っている間、福は2年B組のクラスの仲間のことを頭の中で思い出す。
早く、皆の名前と顔を覚えなきゃ。
あ~楽しくなりそう。
たった一か月だけど、私に友達ができるなんて、本当に夢みたい…

福の初日の滑り出しは順調だった。
でも、その幸せな時間はつかの間で終わる。
大石蓮が綺麗な女の人と腕を組み、福の前に現れたから。


「…れんれん」


幸は、また泣きそうな顔になっている。
蓮は幸に会う前に、早めに透子に会っていた。

透子と蓮は、一年ほどつき合っている。
お互いに交友関係が広いため束縛しない約束を交わしているが、蓮は、透子に幼なじみの幸の事を少しだけ話した。

今日のおかしな幸を見れば、クールな透子もやきもちを焼くかもしれないと思ったからだ。