「翠雨なんて、いなければ良かったのに。今すぐ消えろ。」
 翠雨は雨の中、家から飛び出した。妹の甘雨が生まれてから家では邪魔者扱い。本当の親子だというのに、両親の扱いは酷いものだった。両親の他に頼れる人はいない。千晴以外は。千晴は、一人暮らしの三十路で恋人いない歴=年齢。恋愛経験のない事は、翠雨も心配していた。千晴の住む、隣町は緑の多い都会だ。千晴は翠雨の家族と昔、近所だった。まだ、甘雨の生まれてない頃だ。千晴の住むタワーマンションに三人で住んでいた。千晴と翠雨の両親は接点はないが、千晴が翠雨に話を聞いて貰っていた。翠雨が引っ越す事になった時には、千晴がキャンディをプレゼントした。意味は、貴方と一緒にいたい。二人ともそう願っていた。