✶君と5秒のエモーショナルを詰め合わせて✶

1、SNSとJPOPは季節の変わり目によく似合う





 SpotifyでYOASOBIを泣きながら聴いて、午前0時を過ぎた。



 iPhoneで「好きだよ」となぞり、デリートを連打した。



 揺れ続ける君への思いを抱えながら、今日もTikTokをぼんやり眺める。



 Xで嫌なニュース眺めてないで、推しのポストに触れ、左下を赤く灯す。



 サロンでインスタを見せて、君の反応を想像しながら弱いピンクの髪色にしたよ。



 空飛ぶクジラを眺めながら、君と採れたての桃をかじりたい。



 いつも君が歌うのは、Vaundyの怪獣の花唄だから、頭の中でよく最高のループをするよ。



 年に4回くらい、藤井風が昔、Youtubeでやってた
 丸の内サディスティックの弾き逃げが聴きたくなる。



 TikTokでたまたま流れてきた占い動画で、今の彼の気持ちを知った気になる。



 勇気出して、流行りにあわせて動画を撮ったけど、再生数が一桁で、少しほっとした。



 非公開にした動画が悪いわけじゃないよ。私に世の中にでる勇気がないだけだから。



 平成でも、令和でも、昭和でも、なんでもいいから、いい感じに今を生きたい。



 もし、たまごっちが流行った時代にタイムスリップしたら、
 まず、PUFFYのライブに行きたい。



 春風を受けて、自転車で河川敷を駆け抜けながら、
 スピッツを聴くとひとりの寂しさが紛れる。



 TikTokの流行りのサイクルに目が回りそうになるけど、お気に入りの曲は変わらない。






2、君との恋を消したくなかった





 君のことが好きだったから、私は君中心に考えすぎる癖がついちゃったんだね。



 あり得ない言葉と、ありあまる思い出をくれてありがとう。それでも好きだったよ。



 君と同じものを美味しいと言いあっていた日々が、遠ざかった今、
 あのときが幸せの最高点だったんだって、ただ、虚しくなった。



 君からもらったリッケンバッカーのキーホルダーを未だにバッグから外せない。



 気遣い上手だった君のことを私が振り回して、疲れさせてごめんね。
 私が悪かったんだね。



 いきなり好きな人ができたって、あなたに振られて、
 その2か月後に君が病気で死んだって言われても、格好つけてほしくなかったよ。
 それを知ってたら、私はあなたに最後まで寄り添いたかった。



 バイバイって最後に言って、笑顔で別れたけど、
 本当はまだ君と別れたくなんかなかった。



 同棲を解消したのに、ついシュークリームを2つ買っちゃってたよ。



 君の嘘で傷つけられたのに、
 別れ際でも君の優しさに甘えたいと思うのはどうしてだろう。



 久々に開けた机の引き出しの奥に、昔、君からもらったラブレターをみつけた。
 数ヶ月しか付き合うことができなかった君は元気かな。



 まだ、ココアを飲んでも気持ちは整理できないけど、
 君は別な人を選んだんだから、仕方ないよね。



 君のちょっとした嘘に気がついた私が悪かったのかな。
 もし、そのことを聞かなかったら、今も君の隣にいたような気がするよ。



 君の嘘で取り残された私は今日も、暗い気持ちのまま改札を抜けた。



 スタバでiPhoneにもやもやした君への思いを書いているけど、
 やっぱりいい恋だったっていう感想が先行して、
 思ったように指が進まない。



 君に告白された日は雨だったけど、素直にうれしかった。
 そして、別れを告げた今日も雨で、素直につらかった。



 君と2年住んだ部屋は空っぽになった。
 この部屋の契約更新をしなくてよかったけど、
 このまま君との思い出も時に埋もれるような気がした。



 どんな1秒も大好きだったのに、君とはどうして上手くいかなかったんだろう。



 ちょっと嫌なことされて、嫌いになれるわけないじゃん。
 君のことが好きだったんだから。
 嫌なこと言わないで、私のことが嫌いになったって素直に言ってほしい。



 1か月前、ひとりで誕生日を迎えると思ってなかったよ。
 だけど、今、君からの着信があってそわそわしている。



 お互いに青いまま過ごした恋は消えた。
 君の好きは軽はずみだったんだね。







3、映画やテレビはいつ全盛期だったの?






 テラスハウス、バチュラーの次に流行る番組名を考えるだけで休み時間が終わる。



 アナ雪を観て、大人になった君と私は、中1の夏休みに手を繋ぎ始めた。



 全く知らないけど、君と観た無限列車編だけはくわしく話せる。



 小さい時からの夢だった、欽ちゃんの仮装大賞にいつか出てみたい。



 親から聞いた、電波少年って番組がコンプラの概念なさすぎて、
 そういうのが伝説になるのを知った。



 水曜日の夜くらい、君と通話したくないな。
 水曜日のダウンタウンが楽しみすぎるから。



 あの花を観て泣いた日、君も私の隣で一緒に泣いていたのが嬉しかった。



 M - 1出るためにふたりでネタを考えて、
 放課後の教室に差し込む夕日は消え、暗くなった。



 M - 1一回戦落ちでもいいから、ナイスコンビ賞に選ばれたい。



 決勝のためにクリスマスの予定、開けてるの観る専と芸人と、俺だけだと思う。



 TVerでラビットの見逃しを観るのが習慣の22時。



 君とティファニーで朝食を食べるように、君のわがままをすべて受け入れるよ。



 「君の名は」で、RADの良さを知って、にわかだった私は、
 今では全曲を口ずさみ、ライブタオルを振り回している。



 カメラを止めるなに憧れて、3分のゾンビ映画をiPhoneで撮った青春から、
 もう5年以上経ったんだね。



 Mステ用のトークをいつか出演したときのために、タモさんとのやり取りを練習する。







4、恋をした日々は一瞬だった。 






 君と青い瞬間を永遠に共有したい。



 一切れのチョコレートで今の悩みも一緒に甘く溶けたらいいのに。



 君が泣いた瞬間、僕は君の心の隙間を集めた星屑で埋めたいと思った。



 君に別れ話を切り出す今日、
 君の印象に残るように赤いワンピースを来ていこうと決めた。



 君との思い出がたくさんありすぎて、君と過ごした5年間が空白みたいに思える。



 新作のフラペチーノを飲むたびに、君と過ごした日々が離れていくよ。



 ノストラダムスの大予言が25年遅れで当たったら、
 その瞬間も君とおしゃべりをしていたい。



 高校を卒業してから、遠距離になってから1か月が経ったけど、もう君に会いたいな。



 あの夏、君とふたりでグリコポーズをして、
 夜の道頓堀で自撮りした写真も
 披露宴のスライドショーに出すからね。



 AI生成で作られた無数の絵より、君のキラキラした絵を無限に観たい。



 いつも試験管の中に集めた水素みたいに大切にしてくれて、ありがとう。



 私を愛する気持ちさえあれば、君はきっと、私といたほうが楽しいと思うよ。



 海辺でUFOみたいな光を見て、ふたりで口を開けたままだったけど、
 10年後、今日のことを君と笑うことができるような気がした。



 幼馴染だったふたりは、恋を初めて知ったのがお互いに君だったことを知り、
 ふたりで海に沈む夕日を眺めながら、
 ただ、そのことを素直によろこんだ。



 大好きって告白だけじゃ足りないから、とりあえず一緒にスタバに行こう。
 そして、君の好きなところをしっかりと伝えたい。



 バス停で泣いている君から、悩みなんて聞けないから、
 とりあえずコーラ買って公園に行こう。



 このまま、通話を続けて、ネトフリの新作の話題を続けて、君の声で日付を超えたい。



 お互いに制服のまま夜の公園で君の悩みを聞き、
 君の涙に気づき、思わず君を抱きしめてしまった。



 夏色の公園のベンチで片耳のイヤホンで、
 君色のSpotifyのプレイリストを聴くのは最高だね。







5、もう、頑張らなくていいよ。







 別に君の所為じゃないから、今は悔しくて当たり前だよ。



 最高って口癖にしてたら、きっと、未来は最高になる気がする。



 君が泣いている理由を僕が聞いて、それらを溶かしてあげたい。



 社会って、思ったより不自由だから、自分のためにハーゲンダッツを買った。



 大人になるって、余計な言葉を浴びせられることなら、両耳を塞ぎたい。



 誤解されやすい君は、いつも損な立ち位置になるから、それを代わってあげたい。



 きっと上手くいくよって軽く言ってほしくないけど、話は聞いてほしい。



 今の居場所が悪いだけだと思うから、来週こそ、やめる決意をしてみよう。



 迷うのが人生なら、迷いたくないけど、進めないのもわかるから、仕方なく迷うよ。



 人間関係が嫌になって、たまに山にこもりたくなるけど、
 そんな勇気もないから、今日も地下鉄に乗る。



 ただ、シンプルに君から「大好きだよ」って言ってもらいたい。



 まだ、限界じゃないけど、君からの「無理しないで」って言葉で涙が溢れた。



 意味不明な社会を生き抜くためのテンプレなんてないから、
 とにかく今は君の笑い話を聞きたい。



 ソーダ水で満たした水槽の底で落ち込むみたいな君の曇った表情はみたくない。



 今、この瞬間すら美しく感じるくらい、本当に嬉しいよ。ありがとう。







6、今ある幸せを守りたい 






 そばにいてくれるだけで十分だから、
 肩を叩かれて、振り向いたとき、
 君の指が頬に刺さったのくらい、許してあげるね。



 ネトフリで映画に熱中しすぎて、
 食べるものがなくて、深夜のコンビニに行く私たちは最高に似ている。



 落ち葉の上を飛び跳ねるカーキな君は最強に無邪気だね。



 コンバースをお揃いにして正解だったね。だってこうして見ていると、
 私たち、同じ道を歩いているみたいだから。



 飲みで遅くなるから、先に寝てていいよって言ってたのに、
 寝ないで待ってる君を待たせてごめんね。
 終電より5本早い電車に乗ればよかったね。



 娯楽が多様化した中、同じ小説を読んで、
 感想を言い合えるのってかなりレアな体験だと思う。



 君が昨日、カルディで買ってきたチョコレートサンドクッキーにふたりで沼る。



 新作のためにスタバに来るのもいいけど、
 夜にただ、ふたりで話したいからコーヒーを飲むのもいい。



 22時のイオンモールを出た。帰りの車は冷え切っているけど、
 何気ない君との今の時間は暖かい気がするのはどうしてだろう。



 無印で気になってたひとりがけのソファを買って、
 君が今、リビングでセッティングしてくれているのは素直に嬉しい。



 サイゼリヤでピザとミラノ風ドリアを食べて、ワインを飲んで君と笑う休日は、
 給料日直後のしっかりとした身近な贅沢だ。



 ふたりの暮らしを始めるから、
 フライングタイガーでおそろいのマグカップをふたつ買う。



 さんにん暮らしに備えて、
 西松屋へ君と初めて行く今日は、きっと忘れないような気がする。



 ひとつのビニール傘を差しながら、ふたりで肩をくっつけて、
 梅雨の中、咲く紫陽花をしばらく黙ったままふたりで眺める。



 手を繋いだまま、人混みの地下街を早足で抜けている。
 上映時間までに間に合うと君は言ったけど、
 もし間に合わなくても、このまま君と手を繋いでいたい。



 婚姻届を夜間窓口に出して、昨日君と言った通り、
 記念日を0:00に合わせられたね。









✶君と過去の短いエモーショナルを振り返りたい✶

1、君とレモンソーダをかき混ぜたい ― 夏の保存したい瞬間 ―






 揺れた想いはこのまま、夏の熱で溶かしてほしい。




 夏の恋はよく終わりやすいって言うけど、
 優しい君との恋は根拠はないけど、
 続きそうな気がするよ。




 君はコーラを飲んだあと、好きだよって言われて、
 そんな憂鬱だった気持ちは、すべて一瞬で溶けてしまった。




 ローソンの駐車場で君とアイスを食べる熱帯夜は、
 夢で溢れているように感じるのはなぜだろう。
 君の緑色のTシャツの裾が弱い風で揺れ、
 君より素敵な人なんていないなって思った。



 無数の花火がネオンよりも儚く散り、
 君と僕は花火を見た数だけ、
 大人になっていくんだなって思うと、
 君との恋を単純に深めたくなった。



 プールの雨で水面が揺れて、
 せっかくの底の水色は涼しさが抜けて、
 今日は泣いているときみたいに悲しくみえるよ。




 そんな思案を繰り返しても、現実は変わるわけじゃないってわかっている。



 スカートの裾を右手で持って、
 右回りに孤を描く君の水色は、
 夏を1℃下げる効果があるよ。



 アイスコーヒーを飲みながら、
 ずっと前に思いを伝えられなかった君を思い出した。



 思わず、輝く涙を人差し指でそっと触れた。
 濡れた人差し指に悲しみを感じた。



 いつか、君と懐かしいねって言い合いながら、季節を重ねていきたい。



 「最悪だけど、こういうとき、最高って思えば楽しいよ」



 君に恋に落ちたのは去年の夏で、自然に惹かれ合って、
 暑かった夏が一気に涼しくなった。




 だけど、君を傷つけた事実は変わらない。嘘をついてごめんね。



 君はあの円盤のことを銀色のフリスビーみたいと言った。



 君はバッグの中で溶けたレモンキャンディみたいだね。



 君を必要としているよ。と素直に伝えることにした。



 目玉焼きとトースト。
 すべて準備したから、一緒に今朝見た夢の話を共有しよう。



 病室の窓を開けて、湿った夏の空気を吸い込むと、
 着実に回復しているんだと思って嬉しくなった。




 クールな君はきっと久々の再開でも、
 いつもみたいに波がない反応を返してくると思うけど、
 昨日、したためた手紙を渡したときは驚いてほしいな。



 ため息を吐いてしまったから、
 それを打ち消すためにアイスカフェオレを一口飲んだ。



 ビニール傘は外の灰色を吸ったみたいに濡れていて、
 雨の日はいつも弱い頭痛がするから好きになれない。



 だから、君にこれ以上、愚痴を言うことはやめて今を楽しむね。




 このカーブミラーの前で次の恋を進めることを決めて、今、私はものすごく幸せだ。



 君の言葉はほとんどかき消されたけど、いいよ。
 君のことが好きなのは変わらないから、許してあげる。




 宇宙の端まで着たみたいな、さざなみの音しかない世界で、
 あなたへの愛を思い出した。
 涙が頬を伝う感触がして、余計あなたのことが嫌になった。



 君との青春は去年の夏に始まり、
 君との青春は今年の夏に終わりそうだ。



 レモン色のワンピースが似合う君は、
 最高に透明だから、手を繋いだまま水族館へ行こう。



 8月生まれの君は、生まれつき夏が似合うから、君は永遠に光を失わないよ。



 君と過ごす夏が終わる前に、甘酸っぱい恋をしっかりと君と混ぜたい。



 この先なんて考えたくないけど、何となく君とは、このまま、ずっと一緒な気がした。



 夢中を無限に、無限を有限に
 言葉では伝えられない思いを胸でしっかり溶かしてしまおう。



 制服姿のときに伝えたあの気持ちは、
 すでに無効になっているのは、大人になった証拠だね。



 永遠にこの生ぬるい時間が続いてくれと願う。



 「たまに一人になりたいときがあるの」
 君はそう言いながら、握る手に力を入れた。



 なんとなく、この恋はこの夏に終わる気がした。



 ラテアートのハートは脆くて苦かった。



 憂鬱をすべてソーダに入れて、大好きな歌をくちずさんで、かき混ぜたい。



 閉園前のメリーゴーランドのように、ファンタジーの余韻を感じよう。



 君に撫でられたら、照れるのは当たり前だよ。
 二人だけの教室は夢の続きみたいだね。



 変われない自分を取り残すように大好きな季節は先を急ぐよ。



 さっきまでの出来事は、すべてiPhoneの中に収まっていて、
 あなたがはしゃぐ姿は眩しかった。




 煙る朝はどこか重たくて、外面を気にして、
 飴細工のように繊細な自分が、置いてけぼりになっている。




 タイムマシーンを起動した瞬間の青色のように
 美しい雨の夜に君のことを思い出したのは偶然じゃない。




 狂喜乱舞の派手な世界よりも、悪口を言わない肯定的な世界のほうが、
 非常識で楽しいはずだから、常識は両刃の剣だよ。



 溶けたキャンディを成形するように素早く丁寧に楽しいことを話して。
 そして、元気になって彩って。
 そしたら、そのままの君でいれるから。



 時はこうしてゆっくり進むけど、変わりたくない気持ちは残される。
 一口飲んで、やっぱり少し苦いから、クリープを入れて、白い渦を作った。



 大好きだった出来事をビーカーに入れて、世界に彩りを加えたい。



 揺れる水面は心と表裏で、憂鬱な恋みたいだね。




 きっと、上手くいくよ。
 耳元でそう言われて、憂鬱な恋が叶うかもと、ふと思った。



 手を空に突き上げたって、
 ピンキーリングのピンクゴールドがきらめくだけで、
 もう何もわかりやしない。



 巡る世界に順応できないから、ちょっとだけ待ってほしい。



 ウォーターフロントで尽きない想い伝え合いたい。



 レモネードで白のワンピースをゆっくり染め上げるように
 甘酸っぱい思いをたくさんしたい。



 君とはすでに連絡すら取れない、淡白な関係になっている。
 ――もういいよ。
 前に進むしかないのは、わかっているから。



 ようやく夏が来たから、レモンをかごに入れて海に行きたい。 



 普段の憂鬱なことなんて、
 口の中で溶けたキャンディみたいに甘くなくなるように思える。
 今日は楽しく行きてやるって、心のなかでそっと決意した。



 レモンの酸味を雲に加えるだけで、雨なんて消えたらいいのにって思った。



 雨の中、二人で誓った約束、今でも有効なのは君のおかげだね。
 だから、今日は素直になろう。



 優しかったあの言葉は時が経つにつれて、憂鬱色にどんどん補正せれていく。



 どんどん過去に置いていかれそうだから、
 今に集中して、君のことなんて、忘れてしまいたい。




 宇宙開発が進んだ時代に月の裏のダウンタウンで起きた
 禁酒法をどうやってやり過ごすかを真剣に考える君が、
 やっぱり好きだ。



 好きなままでいれることが幸せで、不安定さはわからなくなった気がする。



 文句ばかり言うのは簡単だけど、イライラは解消されないのは、なぜだろう?



 屋上から街を見渡しながら、君と手すりに寄りかかり、
 理性と知性の違いや、愛情と温情の違いについて、
 結論のない話を永遠としている。



 横にいる君の表情を見ると、君は静かに泣いていた。



 もう過ぎ去ったどうでもいい過去が、瞬間的に現れるのはなぜだろう。



 喉が絞まる感覚が一瞬で痛みを作る。
 「落ち着けよ」って
 誰かに言ってほしくなった。



 捨てられた過去はつらいけど、そんなの忘れて、夏を楽しもう。



 あのときの君の涙を思い出すと胸が締め付けられる。



 だけど、胸にしまうよ。
 もう、何もかもが遅いのは、わかっているから。




 雨の朝はセンチメンタルで、深い傷跡がズキズキする。



 今だけは鬱陶しい未来は捨てて、ゆっくり自由になりたい。



 コンクリートの階段で、見たくない漠然とした未来の話を
 制服の君とだらだらと話している。



 夏の日々は、深まっていくけど、心の隙間は未だに埋まらない。



 立ち止まり、朝日に手を伸ばして、
 指の隙間から光を見ると、風がそっと強く吹き、
 横髪が乱れたから帰ろうと思った。




 ジンジャエールの辛さのように
 すっきりした日常は無理みたいだから、たまに涙もろくなるの。



 「このまま、止まなきゃいいのに」と君が言った瞬間、
 コーラが瞬間冷却されたように、世界がぎゅっと凝縮した気がした。




 数年前の君の微笑みを思い出した。
 泣いているようなその笑みは、その日、世界で一番美しかった。




 君に催促されたから、君の方を振り向き、
 思いっきりだきしめたら、時が止まった。



 「手を繋いで」
 穏やかな声でそう言ったあと、君は僕に手を差し出した。



 夜更けに君から来たメッセージは、
 キャンディを溶かして、飴細工を作るくらい、すべてを飲み込むことができない。



 コーヒーを一口飲むと、涙が頬を伝い、鼻の奥が重くなった。



 遠くなった思い出が胸をかき乱すよ。
 ピアノの調律が上手くいかないように、君があの夏に言ったことが離れない。



 あのときのまま、夏がタイムリープしていれば、
 きっと、大人になる痛みを知らないで終わったんだろうな。



 君の微笑みは無敵で、無邪気だから、
 水槽の中に二人で閉じ込められていいと、
 思えるくらい、胸が締め付けられる。




 星の欠片を繋ぎ合わせて、落下した星をそっと空に返すように
 紡ぎあった言葉は今でも有効で
 きっとこのまま手を繋いだまま、裸足で砂浜を歩き続けることができるね。




 君と退屈を抜け出して、果てまで行きたい。



 君の文句はクリープみたいに溶けて、まろやかになるのは知っている。
 先月、君の涙を見たのをふと思い出した。



 君の体温がちょうどいいと思えるのは、
 きっと、出会ったときの思い出が、瞬間冷却されて溶けていないからだね。



 ひまわり畑で白のワンピと麦わら帽子の君は最強すぎて眩しい。



 僕は離さないと強く決意を固めて、君にキスした。



 夏の終わりをレモネードに溶かしたような、爽やかな風が柔らかく身を包んだ。



 心の傷が癒えないまま、大好きな季節がそろそろ終わりそうだ。



 自分の中の時空が歪み言葉を思い出す。
 優しさの数だけ涙が溢れてしまうのは、どうしてだろう。




 もし、マシュマロのような、ふわふわとした気持ちを抑えられていたら、
 もう少しだけ、息がしやすくなったのかも。



 あなたのことを忘れられないまま、夏はもうすぐ終わるね。



 シャーベットで流して、気持ちを清めたいな。
 指摘されたところを直すから、許してほしいな。
 だけど、そんなの無理なのはわかっている。
 単純にあなたが好きだった。



 君はボブの髪先を右手でいじりながら、
 カウンターの先の窓に映る自分の姿を見ている。



 昨日のバイバイが朝になると、リアルになるのは現実が来るからで、
 とりあえず、カフェで身体を馴染ませるよ。



 遅れてごめんね 昨日はありがとう 楽しかったよ
 来週はずっと一緒にいたいな 
 と、打ち込み、数秒見つめたあと、最後の1行だけ消して、送信した。








2、すべての一瞬を溶かす恋 ―透明感100%の君が消えてしまわないように― 






 インスタで未だに君のアカウントを見てしまうのは、
 君にまだ未練があるからだって、素直に認めるよ。



 僕はいい子すぎる君よりも、
 自分らしさをしっかり出した君の笑顔の方が、100倍好きだよ。



 君を好きになった理由は君の言葉が鋭くて、優しくて、面白いからだよ。



 だって君は、懇願して真夏に吹雪を呼ぶくらい、
 どんな困難も消す力があることを僕は知っているよ。



 君とは、友達以上恋人未満のままだけど、このまま青春が終わってしまうのなら、
 今日、バスを降りたあと、君にキスしてもいいかな。



 だから、もう無理かもしれないけど、
 君に『ごめんね』とメッセージを送ると、すぐに既読がついた。



 もし、この物語がハッピーエンドだったら、
 今度、君にも読んでもらって、今の寂しさを共有したい。




 君とこのまま、手を繋いだまま、真夏の空を飛び、
 ショッピングモールの吹き抜けのガラスの上を歩きたい。



 透明感100%の君がこのまま消えてしまわないように、
 素直に君の透明感が好きだと伝えた。



 今頃、君は新しい夏で私との古い夏を塗り替えているのかな。



 元々、私は惚れやすい感受性だけど、君のことは、本当の本当に好きになったよ。



 だけど、そんなこと言って、君に引かれたら嫌だから、
 私はきっと君に会ってもその事実を伝えないだろう。



 君すら、私のことをわかってくれなかったら、
 きっと、世界中で誰も私のことなんて理解してくれないよね。
 だけど、君はわからないなりに私を理解しようとしているから、
 私はそれだけで、十分だよ。




 「なんか、上手くいきそうだね」と言われた瞬間、
 この恋は実ることをしっかりと感じ取ったよ。




 君のシャンディーガフの泡は、もうだいぶ薄くなってしまうくらい、
 君は弱いみたいだけど、顔を赤くしている君が一番かわいいよ。



 君に言われなくたって、私の弱点なんて自分が一番わかっているよ。



 君は私の気持ちなんて無視したまま、とがめるのを続けている。
 だから、思いっきり綺麗なフォームで、
 しっかりと平手をかまして、泣きじゃくって困らせてやる。



 君の情熱は冥王星と地球を往復する客船を引くクジラくらい、
 変え難いものがあるけど、休める時は休んで。



 流氷に乗り、群れとはぐれて、途方に暮れているアシカくらい、君が好きだよ。



 君が寂しさを感じるなら、すぐに通話で長話して、僕は君と一緒に夜を明かすよ。



 弱っているからレタスをあげようとしたのに、
 警戒しすぎて、すぐに逆立てるハリネズミくらい、君が好きだよ。
 だから、君は僕の前で泣いてもいいよ。



 弱っているときは、弱ってるなりに、もっと甘えろよ。
 そしたら、簡単に俺は君のことを慰めるのに。



 まだ、話し足りないと君の声がアーケードの中に響いたから、
 同じ気持ちでよかったって、単純に嬉しくなった。



 君は未だに胸の中で生き続けている。



 だけど、答えはひとつしかないよ。君は最高だからね。



 君にフラれて、泣いてた日々は、みんなの言葉でしっかり前を向けるようになった。



 夏休みなのに、二人で教室に閉じ込められ、
 足止めされている僕らは、まるで水槽の中のクラゲだね。



 「ありがとう」だけじゃ、満足できないよ。
 もっと君のことを知りたい気持ちが強いんだ。



 雨が降り続ける夜の街を君と一緒に歩くと、なぜか憂鬱がファンタジックになるよ。



 なぜかわからないけど、
 あなたが今、どこで何をしているのかを、急に知りたくなった。



 つらいときは泣いてもいいよ。
 どんなことがあっても、平等に時間は流れるから、時がすべてを溶かしてくれるよ。




 気がついたら、誰もいない駅の待合室で、
 誰かの帰りなんて、待ってなんかいないのに、終電を待つことにした。




 気がつくと、アイスコーヒーが半分なくなっていた。
 『大人になんかなりたくなかった』
 そうキーボードに打ち込んだあと、バックスペースを連打した。



 冷たい潮風で君が揺れる夕暮れは、
 どうして、君のことを泣かせようとしてくるんだろう。
 切なさで濡れた頬を、さあ、拭って。




 『おはよう』と打ち込んだあと、後先なんて考えないで送信したら、
 すぐに既読がつき、急に心臓が破裂しそうになった。




 欠片に憂鬱を添えて、波に乗せると、
 それらは水面で一瞬きらめいて、すぐに消えていった。




 右手を空に伸ばすと、なぜかわからないけど、悲しくなってきた。



 こんな日々は穏やかで、続けばいいと、
 心から願いを込めたけど、やっぱり、たまには人恋しくなるよ。



 夏の訪れを印象づけてくれるくらい、きれいだから、
 思わずiPhoneで、その一瞬を自分のものにした。



 さくらんぼの片方みたいに君と痛みを分け合えば、
 自然にあふれる笑顔のおかげで、鎮痛されるよ。



 季節が早く巡って、癒えないままの私を一人だけ、
 置いてけぼりにしてくれたらいいのに。



 突然の雨の所為で二人とも
 びしょ濡れになったけど、これだけは覚えておいてほしい。
 僕は濡れた君のこと、忘れないよ。



 希望と絶望が交錯する日々だけど、それなりに元気にやれているよ。



 月の明かりの下で、二人で手を繋ぎ、アイスを買いに行く。
 君と僕はなんで似ているんだろうって、君に聞いたら、
 君は当たり前じゃんと答えてくれた。



 毎日をカラフルにするために、
 ついでにお小遣いを全部使って、マカロンも買って帰ろう。



 君と見る海に沈む夕日は、なぜかわからないけど、
 すごく特別なものになりそうだと思った。
 ただ、ずっと一緒にいたいな。



 プールの底の青は光の白い反射と一緒に揺れ、気持ちも揺さぶられた。
 早く夏休みになってくれたら、もっと、気持ちが楽になるのに。



 冷静にドキドキしたから、素直に君のピアスを褒めた。



 いつも相手の都合がいいように丸められてしまう。
 だけど、たまに反撃してみると、
 相手は驚くみたいで、それが倍になって、返ってきて、
 気がつくと孤立しているんだよ。



 コーヒーの苦味をしっかり感じて、頭の中の毒をゆっくり出していこう。



 嫌われたくないから、普通を装っているけど、もう、限界かもしれない。
 普通がわからないから。



 夢で一杯に満たされた日々は、嬉しいけど、たまに疲れてつらくなる。



 まだ、限界は余裕で来ないから、頑張ってみるよ。



 寂れた夜の自販機が眩しいから、カフェオレを二つ買って、
 君と一緒に夜の公園で永遠に愛を紡ぎたい。






 【初出】
 1章
 完全書き下ろし

 2章
 ノベマ! 君とレモンソーダをかき混ぜたい
 2023.7.9

 蜃気羊Twitter(@shinkiyoh)
 https://twitter.com/shinkiyoh
 
 2022.6.1~8.31


 3章 
 ノベマ! 透明感100%の君が消えてしまわないように。
 2023.7.22

 蜃気羊Twitter(@shinkiyoh)
 https://twitter.com/shinkiyoh
 
 2023.5.27~7.21
 2021.6.18~8.31