僕には、気になる人がいた。ちなみに一人称は僕だが、女の子だ。男として育てられ、そういう風に接するのが癖になっていた。でもその人の前では、女の子になれる。姫は、誰にでも対等に接する。しかし、誰もよりつけないそんな人だ。僕の憧れだ。僕は、慶という名前で、誰もが初めて見た時は男の子だと思っている。女の子に告白された事も数知れない。姫と初めて話したのは、忘れもしない。高校一年生、秋の中庭だった。一人で哀愁漂わせる姫に声をかけたのだ。それから、よく二人で話す様になった。楽しかった。でも、姫は僕に心を開いてはくれなかった。それから訳一年。関係は変わらない。