誰がどう見ても“美しい”という言葉が出てくるような御方に、私は離婚を申し出た。
20歳の、誕生日……。
てっきり反対されるかと思っていた。だけど意外にもあっさりと離婚を認められ、ようやく肩の荷がおりた気がした。
「ありがとう、ございます。それでは失礼します」
「おい、ちょっと待て」
「きゃあ!」
離婚の申し出を受け入れてもう事ができ、ほっとしたのもつかの間。
この部屋から出ようとしたのに何故か引き止められ、旦那様の腕の中に引っ張りこまれた。
初めて感じる旦那様の温もりは暖かくて柔らかい。
突然の行動に、どきどきと心臓が鳴りっぱなしだった。
「……離婚は酔いが、なぜお前は私と別れたい?理由くらい聞いてもいいだろうか?」
「え、えっと……」
腕の中にいるせいで首に吐息がかかる。
その事に気づいた瞬間、ぼっと顔が熱くなった。