ここは洞窟の外の入り口付近。

 洞窟の外に出ると、クロノアは景色を眺めた。

 すると異世界なんだなぁと思うほどに、草原が広がっている。

 「さて、ここなら勝負するのに丁度いいかな」

 「フッ、クロノア。お前の腕前を披露してもらおう! 覚悟はいいか?」

 ハウベルトは剣を構えた。

 「えっと……。本当に戦うんですか? 何度も言うようですけど、余り無意味な戦いは避けたいのよね」

 「問答無用だー!!」

 ハウベルトは魔法剣で攻撃を仕掛け、クロノア目掛け剣を一閃する。

 それをクロノアは軽々と避け、仕方なくクロノアは攻撃体勢に入った。

 元々クロノアは無意味なことが嫌いだ。だけど攻撃を仕掛けてこられると、性格のせいでゲームでも大人げなく本気になってしまう。

 「あーあ……仕方ないかぁ。売られた喧嘩は、買わないと失礼だしね!」

 すると、クロノアの雰囲気と周辺の空気が一瞬で変わる。

 「そんなに戦いたいなら、やってやろうじゃないのっ!」

 ディアナは雰囲気が変わったクロノアをみて何かを悟った。

 「ハウベルトォォオオオ!! 様子が変だ気をつけろっ!」

 しかしハウベルトは、ディアナの意図がわからない。そのため、更に魔法攻撃を仕掛けてしまう。

 「えっと、私はね。凄く負けず嫌いで、面倒なことが嫌い。人付き合いも、余り好きじゃない。そして理にかなってないことも、嫌いなんだよねぇ」

 そう言うとクロノアは、下を向き不敵な笑みを浮かべる。すると、杖を前上に翳した。

 「それでさぁ……私はこんなこと、やめようって言ったよね? ……面倒だから、これ以上言わない。この魔法が効けば、一撃で終わらせる!」

 そう言い、クロノアは呪文を唱える。それもゲーム内で、最も強力な呪文を唱えた。

 《極大魔法 ファイヤーワークスっ!!》

 すると辺りが、一瞬で炎の海とかする。

 それをみたハウベルトは驚き、今の体勢じゃ無理だ逃げられないと思った。それなら攻撃で防ぐしかないと思い、剣に魔力を注いだ。

 すると螺旋を描きながら、刃の周囲を水が覆い。

 《ウォータートルネード!!》

 そう叫び剣を突き出し、水の渦を放った。一瞬、炎をかき消したかにみえたが……しかし炎の威力は予想よりも上回っている。そのため防ぎきれず、両肩に火傷を負い髪が少し焦げた。

 「マジか……こんな魔法が存在するなんて」

 「これが、この力が救世主の証」

 二人はクロノアに近づくと、ハウベルトが嬉しそうに話しかける。

 「やはり、お前は我らの救世主。そして、黒き覇王なのだな」

 「黒き覇王って? えっと、私は女なんですけどっ!!」

 クロノアは、つい叫んでしまった。

 そしてディアナとハウベルトは、何事もなかったように、クロノアに謝罪する。

 「本当に申し訳ない……我らが救世主、黒き覇王。なんなりと罰を……」

 「それならば、俺も酷い事を……何で償えばよろしいだろうか?」

 そう言われクロノアは、ついギルマスの時の調子で……。

 「そうだなぁ……今私は、凄く不愉快だしぃ。面倒だから……それなら、なんでも聞くってことで……どう?」

 すると二人は、驚き顔を見合わせる。

 「そんな罰で、いいのですか?」

 「それでいいのであれば喜んで、その罰を一生受けます!」

 そしてこの場は、なんとか切り抜けた。

 (成り行きで引き受けちゃったけど。これから、どうなるんだろう?)

 そうクロノアは考える。

 「そろそろ、長の所に向かわなければなりませんね」

 「そうだな。そろそろ行かなければ……。クロノア様、これから我が国へと参る。道中、非力ながら護衛をさせて頂きたいと思います」

 「どうしても、行かないといけないのね」

 「はい! クロノア様には、これから長に会い話を聞き国を救うと言う使命があるのですから。ここで、くすぶっている暇などありません!!」

 クロノアはこんな所でくすぶる訳がないだろうと、ツッコミたかった。だが、疲れそうだったのでやめる。

 「了解! しょうがない。なるようにしか、ならないしね」

 そう言うとクロノアは、渋々とディアナとハウベルトと共に洞窟の祭壇から旅立った。

 そしてクロノアの新たな人生、苦難はここから始まる。