とぼとぼと、アスファルトを見ながら足を進める。
カーブミラーに反射した光が眩しくて、私はやっと顔を上げた。

キレイな夕空。

薄い色に染めた私の髪は、夕暮れの光に反射して燃えるように赤く染まる。
赤い髪もキレイだよと言ってくれた人は、私ではなく別の女の子のところに行ってしまった。

この茜空の下、何度も並んで帰った。
でも、それはただ単に家が同じ方向だったから。

結局私は彼の特別にはなれなかったんだ。

「っ!」

茜雲の赤が胸を熱くさせて、今までの気持ちを思い出させる。
温かくて幸福だった思いは、今は涙しか誘わない。

でも、泣きたくなくて喉にグッと力を入れた。
その瞬間、つむじ風が巻き上がる。

突然の風に驚いて目を閉じ、砂埃を避けるように顔を横に向けた。

風が治まって目を開けると、鳥居の赤が目に飛び込んでくる。
空の茜色より、鳥居の赤の方が今は心が落ち着いた。

だからかな?
たまには願い事をしてみようかと思い立つ。

彼を忘れられるように。
次の恋を見つけられるように。


そして私は、神様の社への門をくぐった。