『あ、まずはこっちだよ!』
鳥居をくぐった途端、子鬼に手を引かれ水音のする舎に向かう。
なんて言ったっけ?
ちょうず? ちょうずや?
とにかく、手とかをキレイにするところだよね。
『境内に入るならお清めしないと』
「お清め、ね。うん、わかったよ」
かわいい子鬼だけれど、鬼って普通”悪いもの”なんじゃなかったっけ?
なのにお清めを勧めるとか、なんだかおかしい。
でも、”悪いもの”には見えないから私もついてきたんだよね。
ニコニコと笑顔を浮かべる子鬼にうながされるまま、私はひしゃくを手に取り手を清めようとする。
そこで持っていた黒蜜入りのカフェオレをどうしようかちょっと迷った。
仕方なく縁に置こうとしたら、かわいい小さな手のひらが二本突き出される。
『それ、僕が持ってるよ』
「いいの? ありがとう」
お言葉に甘えて預けると、私は薄い記憶の手順で手を清めた。
正しい作法なんて知らないから、ひしゃくですくった水をちょいちょいと手にかけるだけ。
適当に終わらせると、子鬼が手に持っている紙コップをじーっと見つめていた。
興味津々な様子に思わず「ふふっ」と笑う。
「飲んでみてもいいよ?」
そう声を掛けると、笑顔という明るい花がパッと咲く。
『いいの? ありがとう! じゃあ、あっちで座って飲もう!』
”悪いもの”なんて欠片も思わせないかわいい子鬼は、清らかな笑顔で私を誘った。
鳥居をくぐった途端、子鬼に手を引かれ水音のする舎に向かう。
なんて言ったっけ?
ちょうず? ちょうずや?
とにかく、手とかをキレイにするところだよね。
『境内に入るならお清めしないと』
「お清め、ね。うん、わかったよ」
かわいい子鬼だけれど、鬼って普通”悪いもの”なんじゃなかったっけ?
なのにお清めを勧めるとか、なんだかおかしい。
でも、”悪いもの”には見えないから私もついてきたんだよね。
ニコニコと笑顔を浮かべる子鬼にうながされるまま、私はひしゃくを手に取り手を清めようとする。
そこで持っていた黒蜜入りのカフェオレをどうしようかちょっと迷った。
仕方なく縁に置こうとしたら、かわいい小さな手のひらが二本突き出される。
『それ、僕が持ってるよ』
「いいの? ありがとう」
お言葉に甘えて預けると、私は薄い記憶の手順で手を清めた。
正しい作法なんて知らないから、ひしゃくですくった水をちょいちょいと手にかけるだけ。
適当に終わらせると、子鬼が手に持っている紙コップをじーっと見つめていた。
興味津々な様子に思わず「ふふっ」と笑う。
「飲んでみてもいいよ?」
そう声を掛けると、笑顔という明るい花がパッと咲く。
『いいの? ありがとう! じゃあ、あっちで座って飲もう!』
”悪いもの”なんて欠片も思わせないかわいい子鬼は、清らかな笑顔で私を誘った。