高校総合体育大会(あのひ)は……青空がとても綺麗だったーー……。

自分で言うのもなんだけど……俺は小学生の頃から走るのが早く、高学年の時に参加した陸上記録大会の短距離走で歴代のタイムを更新し、見事一位を獲得した。

ーーお前は走るのが早いから、絶対に陸上をやった方がいいっ!ーー

と、当時の担任だった先生に褒められたことが子ども心にすごく嬉しくて、そのことをきっかけに俺は短距離走が好きになり、一人黙々と練習に励んだ。

運良く地元の中学校には陸上部があり、俺は迷うことなく入部した。

本格的な練習を始めるとさらにタイムは縮まり、中学生になって初めて出場した大会で三位を獲得し、それからも大会に出場すれば何度も表彰台に上がるようになっていった。そのお陰で高校はスポーツ推薦をもらい、芸術やスポーツに長けている高校へと進学し、一年ながらにして高校総合体育大会(インターハイ)の出場選手に抜擢された。

とても大きくて、大切な大会……。

不安がなかった……と、いえば嘘になる……。

陸上競技を行っているなら誰しも知っていて、憧れを抱く大会に短距離走の一人の選手として出場出来たことに喜びを感じ、心踊らせていた。

コンディションは最高。

自分が一位でゴールに飛び込むイメージを何度も頭の中に思い描き、望んだ。

まさか、そこで悲劇が起こるなんて……想像もしてなかった……。