一年後ーー……。

高野は眠るように亡くなった……。

俺は陸上トラックのスタートラインに立っていた。

……なずな……。

俺を好きになってくれて……愛してくれてありがとう……。
人を好きになる気持ち……人を愛する気持ちを俺に教えてくれて……ありがとう……。

俺はなずなの想いを抱いて、生きてゆく……。
これからも走り続けるよ……。

好きだよ……。
愛してる……愛する人(なずな)……。

「On your marks……」

ざわめいていた陸上競技場が、静寂に包まれる……。

「Set……」

その刹那……。

パンッ‼

スターターピストルの音が鳴り、雲一つない青空へと溶けたーーー…。