「……こ、こって……」

長瀬に連れてこられたのは……大きな総合病院だった……。

「どうして、こんなところに?」

エレベーターに乗った途端、長瀬に聞いたけれど……やっぱり何も答えてはくれなかった……。

長瀬がようやく口を開いのは……ある一つの病室に着いた時……。

「少しだけ、待ってて」

素っ気なく言い放つと長瀬はその病室へと入っていった。

……一緒じゃダメ……なのか……?

ここに、誰が……?

壁に貼られたネームプレートを確認するも……その病室が一人部屋ということ以外……何も分からなかった……。

そもそもなんで長瀬は俺を病院(ここ)に連れてきたのだろうか?

そんな事を考えながら……他の入院患者やお見舞いにきた人達、看護師の邪魔にならないように俺は廊下の隅へとよけて、長瀬が病室から出てくるのを待った。

その待ち時間はほんの少し……数分間だと思うけれど……俺にとってはとても長く感じた……。

「ーー羽山」

長瀬が病室のドアを開けて、俺の名前を読んだ。

「入って」

長瀬に促されるまま……病室へと足を踏み入れたーー……。