そんなある日……。

とうとう長瀬が俺に対する苛立ちを露わにした……。

「もう、いい加減にしてっ! しつこすぎっ‼ あんたもずっと、なずなにつきまとわれていて、心底うんざりした人じゃないの? それを分かってて……平気でつきまとうのね」

「……ごめん……」

「謝るくらいなら……さっさと、つきまとうのやめてよねっ! 迷惑よっ‼」

「……だよな……ホント、ごめん……。俺……どうしても高野のことが知りたくて……。どうして、こんなにも高野のことが気になるのか……正直、分からない……。長瀬が前に行ったように……もう、一切かかわりのない関係になった……って、いうのに……それなのに……気になって仕方がないんだ……」

「『好き』だからじゃない」

長瀬がキッパリと言った。

……す、き……?

俺は目を見開き、驚く……。

……高野のことが、好き……?
……まさか……そんな……。
そんな、こと……って……。

考えたこともなかった……。

これが……人を『好き』になる気持ち……なのか……?

長瀬に言われて始めて意識する感情に俺は困惑する……。

そんな俺に長瀬がボソッ…と、呟く。

「……待ってて」

「ーーっ……?」

「明日の放課後……校門で待ってて」

「えっ、そ……れは、なっ……」

『なんで?』と、俺が最後まで言葉を口にする前に高瀬はさっさと鞄を手にして、教室から出ていってしまったーー……。