大学三年生の前期が始まって十日余りが過ぎた頃……。

昼休み。

学食で一人、食事を取っていると……同じ経済学部の男子学生が俺に話しかけてきた。

「優しいな」

「ーーっ……?」

言われた言葉の意味が分からず、眉を寄せる……。

「お前、高野がいなくなるの分かってて、付き合ってやったんだろ?」

「はぁ?」

一体、何のことだ?
何を言ってるんだ……?

俺はますます訝しげに眉を寄せた……。

「しらばくれんなよっ! 大学中……その噂で持ちきりだぞっ! 高野がこの大学辞めること知った上でお前が付き合ってやった……って」

「ーーっ⁉」

俺は同級生の言葉に衝撃を受け、居ても立ってもいられなくなり、長瀬を探したが昼休憩中、長瀬を見つけることが出来なかったーー……。