長瀬の言葉をきっかけに……高野が俺と一緒にいて心の底から楽しいと、思うことは何だろう……と、必死に考えた。

最初は全く分からなくて……情けないけど……『恋人』・『付き合う』と、いうキーワードで、手当たり次第にネット内の記事や雑誌を読み漁り、高野と付き合い始めての一週間……自分がどれだけ高野をぞんざいに扱っていたのか……と、いうことに気づかされ、それを恥じた……。

他にも……
『人の話をちゃんと聞いたり、ちょっとしたことを覚えておく』
『ちょっとしたことでも褒める』
『その時々できちんと感謝を伝える』等……一見、簡単ですぐさま出来ることも、もしかしたら……日常生活を送る中で他者とのコミュニケーションを図る上で当たり前のように行っているであろう対応を俺は高野に対してだけでなく、周りにいる人達に対しても行ってこなかったのではないか……とも、感じた……。

そういう最低限のコミュニケーションの図り方を幼少期の頃、両親に教わることも、まして……そういうことをしてもらったことが、例えあったとしても……それは極端に少なく、学ぶ機会がなかったのだとしたら……出来なくても仕方がない……と、言ってしまえば、楽なのだろうが……それを言い訳にするのは俺的にはとても情けなくて、悔しかった……。

突然、掌を返したように……俺の態度や言葉遣いが変わり、高野はすごくびっくりして戸惑っていた……。

無理もない……。

誰が見たって、明らかにたどたどしく、無理をしている……と、すぐに分かる態度や言葉遣いだったから……。

そんな俺の態度や言葉遣いも少しずつ自然になるにつれ……高野の笑顔も違和感なく、心の底から楽しみ、その想いが溢れているように見えた。

高野の何気ない仕草や言葉、笑顔がとても可愛く、一緒にいると楽しいし、心が安らぐ……。

高野と一緒に過ごしてゆく中で、俺の笑顔も次第に増えていったーー……。