高野と付き合い始めてから……これまで以上に高野と一緒に過ごす時間が多くなっていった……。

まるで恋人同士のように四六時中べったり二人でいる……と、いう感じだった。

当然のことながら……携帯電話の電話番号とアドレスはその日の内に交換させられ、すぐさま電話やメールのやり取りをすることとなった……。

昼食はこれまで一人暮らしということもあり、学食を利用することが多かったが……付き合い始めてからというもの……高野が毎日、お弁当を手作っては俺に手渡してきた。

……正確に言えば……無理やり押しつけてきた……。

また、そのお弁当というのがかなり特徴的なもので……。

歪な形のおにぎりやタコなのか、カニなのか……よく分からない飾り切りを施されたウインナー、不揃いに切られた野菜の煮物等……見た目からして『えっ……』と、思ってしまうものばかりがお弁当に入り切らないくらいぎゅうぎゅうに詰められていた……。

だが、不思議と味はとても美味しくて毎度、ビックリする。

放課後は……
「部活があるから……一緒に帰れない……」と、伝えても高野は図書館で課題をしたり、本を読んだりして時間を潰し、必ず俺と一緒に帰宅する。

もちろん、家まで送ってほしい……と、いう高野の要望に応じるべく、送っていった。

俺は高野に言われるがまま……一方的に高野に従うような感じで、接していた。

それでも高野は常に楽しそうで笑顔が絶えず、その笑顔を見る度に次第に俺の胸はズキッ…と、痛み始めた……。

……高野……お前は本当に楽しいのか……?

ふとした瞬間に口からでそうになる言葉……。

両親から愛されたことがない俺が
『異性と付き合う……』
そのことがいまいちピンとこず、困惑する一方だった……。

自分なりに『男女が付き合うと、いうことは……』と、ネット検索してみたりもした……。

携帯電話の画面にずらりと表示された膨大な数の情報……。

調べれば調べる程……ネット上に書き込まれている『男女が付き合う』と、いう定義に全くあてはまっていない俺達の関係……。

当然と言えば、当然のことだし、分かりきってはいても……何故だか妙に虚しさを感じ、俺と高野の関係性に違和感を抱くばかりだった……。