いつからだろうか。
私が死のうと思ったのは。
生きる価値を見出せなくなった私はたった“今“森で迷っている。

なぜかって?
私が死ぬ場所は静かなところがいいと思った。
ただそれだけである。

木々の葉は風によりざわめき私の死を歓迎しているようだった。
誰からも歓迎されないと知った私は一刻も早く死のうと自然と足早になる。
歩いていると澄んだ深い川を見つけた。
私とは違い、自然の魅力に包まれたその川はただ単に美しかった。
それ以上の言葉は必要なかった。
最期にこんな美しい川を見れて良かった、そう思い近づいた時だった。

ズルっ

「⁉︎」

私は言葉にならない言葉を発した。
私としたことが最後の最後に足を滑らせた。

ー苦しい。
ー冷たい。
ー怖い。

頭の中を渦巻くこの感情たち。
ゆっくりと自分の意識が遠のいていくのを感じる。
このまま川の流れに身を任せれば、私はあの世へと行けるのかな……。
視界が濁り、意識が飛ぶ寸前に私は思わず手を伸ばしていた。
綺麗に広がる水紋に目掛けて…。
水紋…?
水中からうっすらと何かの影が見えた。

『お前は、死にたいか?』

水中にいるのに確かにはっきりと声が聞こえる。
低く迫力を帯びたその声に私は恐怖を覚える。

答えなきゃ!
そう直感したが、私は冷たい水により体温を奪われ、呼吸ができない世界により限界を迎えていた。
視界が暗闇に包まれる直前、青く澄んだ川の中に何かが飛び込んできた。

私は必死に手を伸ばしながら、意識を手放した。