ここはベバルギの町から数キロ離れたターエーリクの森。そして洞窟の中だ。
現在ハルキュアとカデリウスとピュアルは指定されたピンク色の鉱石リュキュナストーンを採取している。
「……何も出ないな」
「ええ、でも……そのお陰で気にせず採取できます」
「ウン……ムシハ……イルケド、ネ」
そう言いながら三人は岩壁にあるリュキュナストーンを道具を使い掘っていた。
「こんな退屈な作業を、どのぐらいやれば……ランクが上がるんだ?」
「さあ、どのぐらいなのでしょう?」
「ボク……シラナイヨ」
そう言いピュアルは、ちょこんと小首を傾げる。
「まあ……やるしかないか。それにしても洞窟か、なんか嫌なことを思い出すな」
「それって、あの時のことですか?」
「ああ、まさかこんなことになるとは思わなかった」
それを聞いていたピュアルは何があったのか気になった。
「ドウクツデ……ナニカ……アッタノ?」
そう問われハルキュアとカデリウスは返答に困る。
「そうだな……そうそう……洞窟で大きな大蛇が出て危うく死にそうになったんだ」
「ハルリ……ハルキュアガ?」
「そ……そういえば、そうでしたね。あの時、僕がみつけなければ」
そう言いカデリウスは、なんとかハルキュアに口裏を合わせた。
「タイヘン……ダッタネ。デモ……イマハ……イキテル、ヨカッタ」
「ああ、カデリウスには感謝してる」
そう言われカデリウスは、ドキッと胸が高鳴る。
(はあ? なんで隊長に対してこんな感情を抱くんだ! あー駄目だあぁー……早く戻す方法を探さなければ、僕までおかしくなる)
そう思いながらもカデリウスは、ニコッと作り笑いをし頷いた。
「それはそうと結構とれたな」
「ええ、このぐらい採取すればいいのでは?」
「じゃあ、そろそろ戻るか」
そうハルキュアが言うとカデリウスとピュアルは頷く。
そのあと三人は洞窟を出てベバルギの町へと向かった。
――場所は、リュコノグルにある王立騎士養成学園に移る――
学園長室では、ダギル学園長が机に向かい頭を抱えていた。机の上にはティオルから送られてきた便箋が置かれている。
(いい加減にしろっ! ハルリオン……なんでお前は昔からそうなんだ。少しは自分の立場を考えてくれ。
俺が隊長の時も……本来ならお前がやるべきだった。それが……嫌がって放棄。なんとか副隊長で納得させたが。
ハアー……お前が狙われたのも英雄という肩書だけではない。それだけの実力があるからだ。お前に敵う者など今の世に、それほどいないだろう。
敵国からすれば脅威……。それだけじゃない……お前を敵にまわしたら我が国は滅びるだろう)
溜息をつきながらダギル学園長は、そう思い悩んでいた。
(……今は、このことを考えている場合じゃない。それよりもハルリオンを探させないとな。カールディグスが追ったと書いてあった。
だが恐らく連れて戻らないだろう。似ていないようで、そっくりだ。まあ、カールディグスは気づいていないようだがな。
それを考えると二人でマールエメスを攻め落としかねない。まあそれならいいんだが……いや駄目だ。今のハルリオンの姿はハルリアと云う十五の少女。
新たな英雄が誕生してしまう。そうなればハルリオンが戻った時にどうなる?
バラス訳にはいかん。やはり、すぐにでも連れ戻さねば。しかし誰に追わせるかだ……そうだな……ティオル一人でいいか。
そんなに大勢で向かう必要はない。それにティオルなら余計なことをするとも思えんしな)
そう考えが纏まると便箋に書き込んだ。その後ティオル宛てに魔法で便箋を送る。
「これでいい。あとの者たちは一度、こっちに戻す。それから、その後のことを考えればいいだろう」
そう言うとダギル学園長は、ティオルから先に送られて来た便箋を読み始めたのだった。
現在ハルキュアとカデリウスとピュアルは指定されたピンク色の鉱石リュキュナストーンを採取している。
「……何も出ないな」
「ええ、でも……そのお陰で気にせず採取できます」
「ウン……ムシハ……イルケド、ネ」
そう言いながら三人は岩壁にあるリュキュナストーンを道具を使い掘っていた。
「こんな退屈な作業を、どのぐらいやれば……ランクが上がるんだ?」
「さあ、どのぐらいなのでしょう?」
「ボク……シラナイヨ」
そう言いピュアルは、ちょこんと小首を傾げる。
「まあ……やるしかないか。それにしても洞窟か、なんか嫌なことを思い出すな」
「それって、あの時のことですか?」
「ああ、まさかこんなことになるとは思わなかった」
それを聞いていたピュアルは何があったのか気になった。
「ドウクツデ……ナニカ……アッタノ?」
そう問われハルキュアとカデリウスは返答に困る。
「そうだな……そうそう……洞窟で大きな大蛇が出て危うく死にそうになったんだ」
「ハルリ……ハルキュアガ?」
「そ……そういえば、そうでしたね。あの時、僕がみつけなければ」
そう言いカデリウスは、なんとかハルキュアに口裏を合わせた。
「タイヘン……ダッタネ。デモ……イマハ……イキテル、ヨカッタ」
「ああ、カデリウスには感謝してる」
そう言われカデリウスは、ドキッと胸が高鳴る。
(はあ? なんで隊長に対してこんな感情を抱くんだ! あー駄目だあぁー……早く戻す方法を探さなければ、僕までおかしくなる)
そう思いながらもカデリウスは、ニコッと作り笑いをし頷いた。
「それはそうと結構とれたな」
「ええ、このぐらい採取すればいいのでは?」
「じゃあ、そろそろ戻るか」
そうハルキュアが言うとカデリウスとピュアルは頷く。
そのあと三人は洞窟を出てベバルギの町へと向かった。
――場所は、リュコノグルにある王立騎士養成学園に移る――
学園長室では、ダギル学園長が机に向かい頭を抱えていた。机の上にはティオルから送られてきた便箋が置かれている。
(いい加減にしろっ! ハルリオン……なんでお前は昔からそうなんだ。少しは自分の立場を考えてくれ。
俺が隊長の時も……本来ならお前がやるべきだった。それが……嫌がって放棄。なんとか副隊長で納得させたが。
ハアー……お前が狙われたのも英雄という肩書だけではない。それだけの実力があるからだ。お前に敵う者など今の世に、それほどいないだろう。
敵国からすれば脅威……。それだけじゃない……お前を敵にまわしたら我が国は滅びるだろう)
溜息をつきながらダギル学園長は、そう思い悩んでいた。
(……今は、このことを考えている場合じゃない。それよりもハルリオンを探させないとな。カールディグスが追ったと書いてあった。
だが恐らく連れて戻らないだろう。似ていないようで、そっくりだ。まあ、カールディグスは気づいていないようだがな。
それを考えると二人でマールエメスを攻め落としかねない。まあそれならいいんだが……いや駄目だ。今のハルリオンの姿はハルリアと云う十五の少女。
新たな英雄が誕生してしまう。そうなればハルリオンが戻った時にどうなる?
バラス訳にはいかん。やはり、すぐにでも連れ戻さねば。しかし誰に追わせるかだ……そうだな……ティオル一人でいいか。
そんなに大勢で向かう必要はない。それにティオルなら余計なことをするとも思えんしな)
そう考えが纏まると便箋に書き込んだ。その後ティオル宛てに魔法で便箋を送る。
「これでいい。あとの者たちは一度、こっちに戻す。それから、その後のことを考えればいいだろう」
そう言うとダギル学園長は、ティオルから先に送られて来た便箋を読み始めたのだった。