ここはべマルギの宿屋のハルリアが泊まる部屋。そう察しの通りカールディグスにより三部屋に分けられたのだ。
 この場にはハルリアの他にカールディグスとピュアルがいる。

 そして現在、三人は椅子に座りテーブルを囲んで話をしていた。

 「この国で行動するなら用心のために名前を変えませんか?」
 「カール……なるほど、その方がいいな」
 「ボクモ?」

 そう聞かれカールディグスは首を横に振る。

 「ピュアルは元々この国の人だから大丈夫だ。でも……僕とハルリア嬢は違う」
 「ソウナノカ……チョットザンネン」
 「ピュアルは、そのままの名前の方が可愛い」

 そう言いハルリアは、ニカッと笑った。

 「ソウカナ……ソウダネ、ハルリアガ……ソウイウナラ……ソウスル」

 ピュアルはそう言い照れている。

 (その姿になっても女性を喜ばせる言葉が出てくるとは……まあ手を出せないでしょうけど)

 そう思いカールディグスは、ジト目でハルリアをみた。

 「そうなると……名前を考えないとな」
 「ええ、そうですね。さて……どんな名前にしましょうか?」

 二人は自分の偽名を考え始める。
 その様子をピュアルはみていた。

 ★☆★☆★☆

 「さて……これから、どうするかですね」

 そう言いティオルは思考を巡らせる。
 ここはカンロギの町の倉庫内。
 ティオルの周囲には捕虜三人とルミカとメイミルとパルキアとセリアーナとマルルゼノファとシャルルカーナがいた。

 「確かに、このままここに居る訳にもいきません。そうなると……学園長に聞いてみた方がいいのでは?」
 「ルミカの言う通りだ。ああみえても学園長は元兵団第一部隊の隊長だしな」
 「うん、そうみたいだね。噂だけは聞いてたけど師匠を鍛えたって」

 それを聞き七人は、マジマジとメイミルをみる。

 「メイミル……その話を、どこで聞いたのですか?」
 「んー……ティオル、どこだろうね? ハハハ……」
 「まあいいでしょう。それでは急いで便箋に書きましょう。誰か持ってますか?」

 そう言いティオルは六人をみた。
 すると六人共に首を横に振る。

 「私が買って来ます」
 「セリアーナが行くなら俺も行く」
 「私も行くわ。マルルとセリアーナだけじゃ不安ですもの」

 そう言いシャルルカーナは、ニコリと笑みを浮かべた。

 「そうですね……ルミカにも同行してもらった方がいいでしょう」
 「ティオル様、承知しました。それと他に買ってくる物があれば言ってください」

 それを聞きティオルは頷き必要な物をルミカに伝える。
 その後ルミカはセリアーナとマルルゼノファにシャルルカーナと一緒に倉庫を出て商店街に向かった。
 それを確認するとティオルはパルキアとメイミルをみる。

 「行きましたね。さて……メイミル、貴女のことはハルリアとカールディグスから聞いてますよ」
 「何を?」
 「貴女がダギル元隊長のご令嬢だという事をですよ」

 そう言われメイミルはダラダラと顔に汗をかき、どうしたらいいのかと戸惑った。
 パルキアは知らなかったため驚きメイミルをみる。

 「あーえっと……それはね」

 そしてその後メイミルは観念して話し始めた。