ここは王立騎士養成学園の一年F組の教室。
 あれからマルルゼノファは、次の授業まで時間があったため窓際に来ていた。
 そしてマルルゼノファは外を眺めている。

 (丁度ここから乗馬コースがみえる。ハルリアさんは、どうしているだろうか?)

 そう思いマルルゼノファはハルリアを探した。その後、みつけたと同時に怒りの表情へと変わる。

 (どういう事だ!? なぜカールディグス先生(あの男)がハルリアさんと馬に乗っている!)

 マルルゼノファは嫉妬していた。そう、自分もハルリアと一緒に馬に乗りたいと思っていたのである。

 (俺も、早くハルリアさんと同じ授業を受けたい……)

 そうマルルゼノファは考えていた。
 するとセリアーナとシャルルカーナは、マルルゼノファの所に近づいてきた。

 「どうしたの?」
 「あ、セリアーナさん。どうもしません、ただここからハルリアさんがみえるなぁと」
 「マルルは、本当にハルリアのことが好きよね?」

 そうシャルルカーナに言われマルルゼノファの顔は、茹蛸のように真っ赤になる。

 「そ、それは……確かにそうだ。だがハルリアさんには、既に婚約者がいる……」
 「そうね……それも、あのハルリオン様(英雄)のお墨付きだし」

 そうセリアーナに言われマルルゼノファは、ハァーっと溜息をつき肩を落とした。

 「だけど、まだ結婚はしていないのですよね。それなら、まだ間に合うかもしれませんわ」
 「シャルル……まさか、婚約破棄させようなんて考えてないよな?」

 そうマルルゼノファに聞かれシャルルカーナは、ニヤリと笑みを浮かべる。

 「ええ、そのまさかですわ。私は、そんな顔をするマルルをみたことがありません。ですので、全力で応援したいの」
 「そうね……それに略奪愛なんて、ロマンがあって素敵だと思う」
 「……だがな。ハルリアさんの気持ちは、どうなる?」

 そう言いマルルゼノファは、難しい顔で二人をみた。

 「それもそうだわ。それなら、ハルリアに聞いてみようかしら」
 「シャルル、それいいわね」
 「待て……もしかして、俺が聞くのか?」

 そう聞かれシャルルカーナは、首を横に振る。

 「こういう事は、女同士がいいのですわ」

 そうシャルルに言われマルルゼノファは、ホッと胸をなで下ろした。

 「そうだな……いつまでも思っているだけでは前に進めない。それに駄目だったとしても……ハルリアさんから距離を置くつもりはないしな」
 「そうなのね。でも、ハルリアはすぐに結婚しないと思うし。今は駄目だとしても、ハルリアの気持ちが変わるかもしれない」
 「セリアーナ……ありがとう。そうだな……」

 そう言うとマルルゼノファは、ハルリアの方へ視線を向ける。

 「それでは、私とセリアーナでお昼になったら確認してみますわね」

 そうシャルルカーナが言うと、マルルゼノファとセリアーナは頷いた。

 「なんか申し訳ない。もっと俺に勇気があれば、と思うよ」

 そう言いマルルゼノファは頭を下げる。
 そしてその後も三人は、鐘が鳴るまで話をしていたのだった。