――……二日後の朝。

 ここは王立騎士養成学園の門前。空は快晴で雲一つなく、気持ちいい風が吹いている。
 そしてその門付近には、真新しい学生服を着た生徒たちがいた。
 そう今日は、途中から学園に入った者のための入学式である。
 勿論ハルリアも、ここに来ていた。
 門の前でハルリアは、セリアーナとマルルゼノファとシャルルカーナがくるのを待っている。
 そうそう服装は、騎士養成学園の制服だ。因みに制服は、学年によって違う。

 一年生は黄緑色。だが、途中入学の生徒は青色である。
 二年生は青紫色。
 三年生は赤紫色。
 この制服は、渡された物を三年間着るのだ。
 だが、色が変わらないだけで何枚も購入できる。……まあ金次第にはなるが。

 そして現在ハルリアは、門付近の塀に寄りかかり考えごとをしていた。

 (いよいよ入学式か。まあ今日は、式と教室で必要な物が支給されるだけだ。あとは、担任の紹介もだったな)

 そうこう考えているとセリアーナが近づいてくる。

 「おはよう、ハルリア!」
 「セリアーナ、おはようございます」
 「まだ、マルルゼノファとシャルルカーナは来てないのね」

 そう言いながらセリアーナは周囲を見渡した。

 「そうみたい。二人共、何をしているのかしらね」
 「ホント……これで遅刻なんてことになったら笑える」
 「ハハハ……本当ね。ですが、いくらなんでも……流石にそれはあり得ないと思いますけど」

 ハルリアはそう言い苦笑する。
 そうこう話をしていると、マルルゼノファとシャルルカーナがハルリア達の方へ駆けてきた。

 「ハァハァハァ……すまない。シャルルを待っていたら、遅くなった」
 「ごめんなさい。ですが、中々髪が纏まらなくて……」

 そう言いマルルゼノファとシャルルカーナは、手を合わせ深々と頭を下げる。
 ハルリアとセリアーナはそう言われて、ニコリと笑みを浮かべ大丈夫だと言った。
 その後ハルリア達は、学園の門を潜り入学式が行われる多目的ホールへと向かう。

 ★☆★☆★☆

 ここは学園長室。ここには、ダギル学園長とロイノビがいる。
 ダギル学園長は窓際にいた。
 一方ロイノビは机の前に立ってダギル学園長をみている。

 「学園長、いよいよですね」
 「ああ……そのために、わざわざ途中入学生を募集したのだ。……ロイノビ、分かってるな?」
 「はい、勿論です。ハルリアだけ他の生徒とは、別メニューでの授業をですよね?」

 そう問われダギル学園長は、コクッと頷いた。

 「特に……ハルリアには、苦手を克服してもらう」
 「はぁ……確か、その一つが――」
 「そういう事だ……騎士にとって一番に必要とされることができないからな」

 そう言いダギル学園長は、ハァーっと溜息をつく。

 「ふと思ったのですが、なぜハルリアが……苦手だと分かったのですか?」
 「そ、それは……そうそう……実は試験の日に偶々あって話したのだよ」
 「は、あ……なるほど。直接会って確認したのですね。それならば納得しました。それと……それだけハルリアには、期待をしていると」

 ロイノビはそう言うと、ニコリと笑った。

 「うむ、新たな英雄が……この国には必要だからな」
 「そうですね。それはいいとして……ハルリオン様がみつかったらどうするのでしょうか?」
 「それについて王室の考えは、英雄が二人いてもいいとも言っている」

 それを聞きロイノビは、なるほどと納得する。
 そしてその後もダギル学園長とロイノビは、入学式が始まるまで話をしていたのだった。