――……二ヶ月後。

 ここはリュコノグルの城下町にある王立騎士養成学園。その塀の外側には、学生寮と教員寮が建っている。
 そして、その近くに真新しい屋敷が建っていた。因みに、それほど大きな屋敷ではないようである。それでも塀でまわりを囲まれていた。
 屋敷の中は普通だが、それなりに豪華である。
 その奥の客間には、ハルリアとルミカとカールディグスとメイミルがソファに座り話をしていた。
 そうここは、ハルリアとカールディグスのために用意された屋敷である。

 因みにカールディグスは、学園に旅立つ前日になって行きたくないと言いだした。
 流石のカールディグスも、ハルリア(ハルリオン)と一緒に暮らすのが嫌……抵抗があったのだろう。

 そして現在ハルリア達は、これからのことについて話しをしている。

 「まさか、こんなプレゼントをしてくれるとはな」
 「ええ、それも……師匠とカール様が学園長の公認カップルという事ですしね」
 「そうそう、これで心置きなく……ムフフッ……」

 それを聞きカールディグスは、ムッとした。

 「メイミルッ! からかうな。僕は……こんなつもりで、あんな嘘をついたんじゃない」
 「でも、そうしておいた方が……無難だと思いますよ」
 「そうかも……だけど。そもそも、なんで寝室が一つで……それもキングサイズのベッドって……」

 そう言いカールディグスは、俯き頭を抱える。

 「その前に、学園長はハルリア嬢が隊長だってしってるんですよね?」
 「カール、ああ……だから余計にお前と一緒の方がいいと思ったんじゃねぇのか」
 「そうだとしても……これじゃ変な噂が立って、女……いや、色々とやりづらくなるんじゃ」

 それを聞きハルリアとルミカとメイミルは、ジト目でカールディグスをみた。

 「なるほどですねぇ。ですが、まさか……カール様の口から()()()と云う単語を聞くとは思いませんでしたわ」
 「うんうん、やっぱりムッツリだったんだね」
 「待ってくれ! 僕は、自分のことを言ったんじゃなくて隊長の……」

 カールディグスはそう誤魔化そうとする。
 するとハルリアは持っていた鞘におさまったままの剣で、カールディグスの頭を軽く叩いた。

 「おいっ、人のせいにするんじゃない! それに、お前も男だ。ここに女を連れて来ても問題ないだろう」
 「師匠っ! それって、大問題ですよ」
 「そうそう、ルミカの言う通り。そもそも、ここに女を連れ込んでたら……カール様と師匠の関係がバレちゃうからね」

 そう言われハルリアは、ガッカリする。

 「まあ、それはいいとして……ですが。これから、大変になりますね」
 「ルミカ……そうだな。オレは、ここで身を隠しながら……元に戻る方法を探らなきゃならない」
 「ええ、僕もそのつもりです」

 そう言いカールディグスは、ハルリアへ視線を向けた。

 「カール、オレはその気はないぞ」
 「僕もその気はないです。ていうか、その眼はからかってますよね?」
 「ああ……ハハハハハ……カール、お前は変なところ真面目だからな」

 それを聞きカールディグスは混乱する。
 そしてその後もハルリア達は、色々と話し合っていたのだった。