ここはリュコノグルの城下町にある宿屋のハルリアの部屋。
 ハルリアはルミカとカールディグスとメイミルと話をしている。

 あれからハルリアは、ダギル学園長に言われたカールディグスのことのみ忘却の魔法で記憶を消した。……器用である。
 その後しばらく話したあと、学園長室を出てセリアーナ達が待つ中庭に向かった。
 そしてセリアーナ達と話をしたあと城下町の宿屋にくる。

 現在ハルリアは、ルミカ達に今日あったことを話していた。

 「師匠……バレたってどういう事ですか!」
 「ルミカ、バレたのは隊長……いや……学園長にだけだ」
 「それでも、バレたらまずいんじゃ」

 そうカールディグスに言われハルリアは首を横に振る。

 「学園長は、黙っていてくれるそうだ」
 「それって、どういう事?」

 そう言いメイミルは首を傾げた。

 「カール、学園長が誰だか知っているよな?」
 「ええ、元兵団第一部隊の隊長で騎士団第三部隊の隊長まで務めた方です。確か名前は、ダギル・ヴィムデ」
 「ああ、そうだ。それを聞けば、バレた理由とか……だいたい分かるだろう」

 そうハルリアが言うと三人は考える。

 「兵団第一部隊って、僕たちが所属している……」
 「そうだ……オレの隊。そんで学園長は、オレからすれば……元隊長であって元上司になる」
 「……それでか。よく言ってたのは……」

 ボソッとメイミルはそう呟いた。

 「ん? メイミル、言ってたって誰がだ」
 「あー師匠、ううん……なんでもないです。ハハハ……」

 そう言いメイミルは誤魔化す。

 「んー……まあいいか。そのせいで、オレの髪色や癖……魔法などなど知っているからバレた」
 「なるほどですね。ですが、それならなぜバレても大丈夫なのですか?」
 「ルミカ、オレも不思議なんだが……ハルリアを通せるならいいって言ってたんだよな」

 それを聞き三人は、なるほどと頷き納得する。

 「じゃあ隊長が、ハルリオン様だとバレるような行動をしなければいい訳ですね」
 「カール、そうなる。まあその前に、受かるかどうかだがな」
 「師匠は、受かると思いますよ。だから余計に、学園長は確認したのだと思います」

 そう言いルミカは、ハルリアを真剣な顔でみた。

 「それならいいが……それはそうと、一週間後だな」
 「はい、隊長は大丈夫だと思いますが……僕たちがどうなるか」

 そう言いながらカールディグスは俯く。

 「そうですね……不安しかありません」
 「うん、アタシも……ドキドキしてる。って云うか、なんか受からない気がするんだよなぁ」
 「メイミル、お前らしくねぇな。どっかで、頭をぶつけたか?」

 そうハルリアが言うとメイミルは、プゥーっと頬を膨らませ怒る。

 「頭なんてぶつけてません!! アタシだって、不安になる時もあるんですからね」

 そう言いメイミルは、プイッと横を向いた。
 それをみてハルリアとルミカとカールディグスは笑っている。
 そしてハルリア達は、しばらく話をしていたのだった。